第103話 そのことだけが悔やまれる
「え? だって私は御主人様の奴隷なのよ?」
「いや、うん、いつでも解放してやるよ? 今すぐ解放してやろうか?」
「それなのにご主人様は私にこの者たちのような辱めを与えてくださらないし、強制力のある命令も今まで一度たりともされたことがないもの。 そりゃ、奴隷ではない、しかもご主人様の命を間接的に奪いに来たこの者たちの方が先にこんな……こんなっ、これほどまでに魅力的な辱めを奴隷であるこの私を差し置いて受けることが出来るだなんて嫉妬するなと言う方が無理があるわっ!! むしろ『シシル、お前も一緒に辱めを受けろ』って命令してほしいわね。 あ、この時私は数回拒否するので、そのあとに命令として私にもこの者と同じ辱めを受けろと指示してほしいわ」
「え? 普通に無理」
え? 普通に俺ドン引きなんだが? てか、シシルがこれほどまでに拗らせ散る変態駄エルフだと知っていたら隷属なんてさせなかったのに……。 そのこと(シシルが変態駄エルフだと知らなかった事)だけが悔やまれる。
「まったく、奴隷に対して不適切な精神的暴力を働いていると私は抗議させてもらうわ。 自分で隷属させたのだから最後まで奴隷の面倒はみなさいよっ!!」
「え? これ俺が怒られるパターンなの?」
てか何故俺がまるで子供が子猫を拾ってきたはいいものの数日で面倒を見なくなった親が子供に叱りつけるような感じで言われなければならないのか。
「何よ、ご主人様は恥ずかしがりやが過ぎるわね。 でも確かに初めはハードルの低い事からやって行って徐々に慣れていった方が良いのも確かだわ。 良いでしょう。 どんな小さな事でも何でもいいから私に命令していいわよ?」
「いや、大丈夫なんで。 もうほんと、大丈夫なんで許してください」
そして俺はこの時、絶対にシシルにだけはやまれぬ事情があると気を除いて絶対に命令をしないと心につかう。
俺の私生活を覗きたければ好きなだけ覗けばいい。 ただ俺も気を付けるだけだ。 それにきっとなんらかの対処法はあるはずなのでそれを見つけるまでの辛抱である。
「は? え? そ、そんな……」
そんな俺たちのやり取りをみて拘束された者たちの表情がみるみる青ざめていき、拘束されていない者も驚愕している事がその表情から伝わってくる。
「あ、あの方って帝国の魔女と呼ばれている、シシル・シシルカ様だよな……」
「そんなお方をこのカイザルと言う者は隷属していたとは……っ」
「あのシシル様が隷属されているとなると、帝国の内部はもう……」
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