第99話 顔面めがけて拳をめり込ませる
逆に【コキュートス】を行使した方は【コキュートス】が生み出した氷の上で基本的に立ち回れば相手は容易に近づくことすら出来ない上に、最悪白い霧の内側に逃げれば接近戦は避ける事ができる。
ハッキリ言ってかなりチート級な技なのだが、解術系への耐性も無ければカウンタースペル(魔術を無効にする魔術)への耐性も無いのでそれらの効果を持つ低段位の魔術によって簡単に無効化されてしまうのだが、逆にだからこそ相手は水系統の魔術を中心とした魔術を【コキュートス】を警戒して簡単に解術系魔術やカウンタースペル系魔術を使えなくするブラフするという駆け引き良く使われていた当時の事を思い出す。
相手の魔術を妨害する魔術中心の構築には通用しないのだが。
そんな懐かしい記憶を思い出しながら、俺はまるで鼻歌でも歌い出しそうな程軽やかに歩みを進める。
「こっちに来ないでよっ!! って、え? 何で私の足が凍ってしまっているのよっ!?」
「つーかまーえた。 俺の命を間接的ではあるが奪おうとしたんだ。 当然それなりの覚悟はできているよな?」
「ひぃっ!?」
そして俺はオバサンの顔面めがけて拳をめり込ませる。
「ウブファッ!?」
「皇帝陛下と違って命までは取らねぇ俺って優しいよな?」
「うぅ……あ、あっ、こ、氷がっ!? 氷が迫って来るっ!? 助けてっ!! 謝るから助けてっ!! 動けないのっ!! 命までは取らないんでしょうっ!? だったら助けなさいよっ!!」
「大丈夫だって。 全身氷漬けになってしまっても死にはしないから。 多分。 まぁでも、身体を取り囲む氷を解凍できる人が現れればちゃんと意識を取り戻すと思うから。 心配する事は無いよ。 何十年後になるかは分からないけど、それまでぐっすりと寝れるから良いんじゃないかな?」
「そんな事を聞いているんじゃないのっ!! いいからはやk…………」
そしてシャルロットは全身【コキュートス】の効果によって氷漬けにされてしまった。
その様はさながら氷の牢獄へ永久的に閉じ込められてしまったようである。
正にコキュートスという名にふさわしい魔術であるといえよう。
俺はオバサンが氷漬けになる所を見終わると光魔術段位一【解術】を行使して結界と【コキュートス】を解術する。
因みにシャルロットは氷漬けのままなのだが、それはゲームと同様に今の彼女は『状態異常』として反映されており【コキュートス】を解術してもシャルロットは氷漬けのままである。
彼女の取り囲む氷を解凍させるには状態異常解術の効果を持った魔術かスキルがないと夏の熱い日差しであろうともこの氷を解凍させる事はできないであろう。
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