第91話 その魔術がゴミだから
そして俺は数多ある選択肢の中からとある魔術を行使する事にする。
「さぁーて、どこに何本突き刺さっているか確認をしようかねぇ。 頭は即死してしまうから狙えないのは残念だけど、この私レベルであればたとえ心臓に【氷槍】が突き刺さっていたとしてもしっかり傷口を治してあげるわっ! でもその前に一旦【氷槍】が刺さってできた穴に指を突っ込んでこねくり回してみたいわね。 いったいどんな可愛らしい声で鳴くのか今から楽しみだわ」
「悦に浸っているところ申し訳ないのだが、なんで俺が何もせずにお前のゴミみたいな魔術を喰らって致命傷を受けている前提で話しているんだ?」
「…………へ?」
これから俺をいたぶる想像をして悦に浸っているシャルロットに対して、なんであのゴミみたいな魔術で俺に致命傷を与えたと思っているのか話しかけてみるのだが、返ってきたのは間抜け面した表情と何が起こったか理解できていない、まるで空気が抜けるような締まりのない声であった。
「いや、『へ?』じゃねぇだろ。 そもそも詠唱が終えて魔術を行使できるようになるまでに十秒以上もかかるようなゴミ魔術で、どうして俺に致命傷を与えられると思っているんだ? って聞いているんだよ。 まぁ、そんな事も理解できないような奴だからゴミみたいな魔術を行使したにも関わらず悦に浸れるんだろうけどな」
「い……いったいどうやって私の魔術を避ける事が出来たのよっ!? わたしの魔術は間違いなく行使できたわっ!! そしてあなたはその時魔術を行使する素振りも見せずに突っ立ていたじゃないっ!! 私が魔術を行使してあなたのところに攻撃が届くまで一秒にも満たないのよっ!? そして私が行使した魔術は【氷槍】を四つ同時に詠唱することが出来るオリジナル魔術であり【氷槍】からは逃げる事など不可能だというのにっ!!」
「いや、だからそのお前の言う【氷槍】を四つ同時に詠唱することができるオリジナル魔術? か何なのかは分からねぇが、その魔術がゴミだからあんなもの当たるはずがないってさっきから言っているだろう? 俺の言葉が信用ならないのならばもう一度そのオリジナル魔術とかいうゴミを俺に向かって行使してみれば良いだろうが」
しかしながらシャルロットは俺がわざわざ反撃もせずに先ほどシャルロットが放った魔術がゴミでしかない事を教えてやっているにも関わらず一向に信じようとしない為、信じることが出来ないのならばもう一度同じ魔術を行使してみれば良いと半ば呆れながら返す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます