第81話 頼むから元に戻してくれ
一体全体どのようなスキルを発動するのかは分からないのだが、謝罪をする振りをして奇襲くらいであれば普通にやりかねないので俺は無詠唱で防御壁を展開してオリヴィアの攻撃に備える。
しかしながらいくら待てど奇襲される事は無く、ついに何事も無くオリヴィアのスキルはその効果を終えて光らなくなったではないか。
しかしながら確かにオリヴィアのスキルは発動されているため何も起きていないという事はあり得ない。
いったいオリヴィアは何をしたのか疑問に思っていると、オリヴィアが喋りだす。
「謝罪の意味も込めて、先程私の家系に代々伝わるスキル【騎士の忠誠】を発動させていただきました。 これにより私の主はカイザル様となります」
「………………はい? いやいやいや、確かに俺は謝罪しに来たら右腕を返すとは言ったけれども、俺の騎士になれとは一言も言ってないんだけどっ!? っていうかこんな本人の了承も得ずに一方的に契約するなど無効だろうがっ!! 頼むから元に戻してくれっ!!」
俺の記憶が正しければこのオリヴィアが行使したスキル【騎士の忠誠】はこのスキルを行使した主の能力の二十パーセントが自身の能力に加算されるというぶっ壊れスキルなのだが、デメリットとしては契約した主への攻撃が一切できないという効果と契約した主の半径一キロ以上離れた場所ではその能力上昇が無くなるというデメリットがある。
非常に強力なスキルなのだがその効果の恩恵を受けるには主が側に居なければならないという内容であったはずである。
そして最大のデメリットが、俺側からは解術できないという糞設定である
「それはできません。 このスキルは一生に一度しか使えず、そしてやり直したり解除したりすることもできません。 しかしながらこのスキルを契約した主に対しては攻撃できないというデメリット、カイザル様にとってはメリットがあるのでこれをもって私の忠義が本気である判断していただきたく思います」
確かに『契約した主への攻撃が一切できない』というデメリットがある以上オリヴィアは俺へ攻撃できなくなったわけだが、俺が求めていたのはそういうことではないと声を大にして言いたい。
「しかし、さすがカイザル様ですね」
「…………何が? こうも簡単に奇襲で騎士の契約できた間抜け具合がか?」
「私の想像していた以上に私の能力が上昇している事が分かります。 これ程とは……。 もしかしなくてもカイザル様お一人で帝国を潰す事ができるのではないですか?」
そしてオリヴィアは高揚して息が荒くなり恍惚な表情を俺に向けながら自身の能力上昇具合を語りだす。
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