第56話 やっぱり日本人ならば日本刀だな
「……お前に冒険者の何が分かる?」
そしてこの自称冒険者ランクS級さんは俺の挑発に苛立っているのを何とか抑え込み、俺に『冒険者の何が分かる?』と聞き返してくる。
折角苛立ちを抑える事ができたのに殺気を孕んだ目で聞いて来ては俺の挑発が効いている事がまるわかりではないか。
「そうだな、今のやり取りだけで見ても怒りの感情を抑えたにも関わらず『ぼくちんの職業をバカにするなんて許さないぞっ!!』というような内容を、殺気を飛ばして聞いて来るあたり、S級と言えどもその程度の知能、感情をコントロールしきれない程度のレベルなんだなという事は分かるな」
そう俺が更に挑発した瞬間、件の冒険者が剣を鞘から抜き、切っ先を俺の喉元へ突きつけるではないか。
こういう感情だけで動くバカは行動が分かりやすくて非常に助かる。
これでコイツは俺に喧嘩を売ったことと判断するので、売られたからにはちゃんと買ってやるのが礼儀であろう。
「何か勘違いしているのかも知れないが怒りの感情を隠そうとしたのではなく、貴様ごときには隠す必要がないからだ。 土下座で謝罪して大人しく連行されるのであれば四肢は切り落とさずに連行してやろう」
「あ? 逆だよ逆。 何でお前ごときが俺に命令してんの? どちらが強者であるかも分からないような低レベルだからバカにしている事に何で気付かないの? あぁ、だから低レベルなのか。 一応お前にも分かりやすく教えやるけど、お前は俺に命令される立場であって俺に命令できる立場ではないんだな、これが」
「貴様ぁぁあっ!!」
そして相手が余りにもおかしな事を俺へ命令して来るので、どちらが上かちゃんと教えてやる。
だというのにそいつは感謝の言葉を言うどころか逆行して俺に切りかかって来るではないか。
ホント、感情で動くバカは単純で助かるな。
でもまぁ、攻撃してくるように誘導したのは俺だが、攻撃する事を選んだのは俺ではないからなぁ。 恨むならばその頭の悪さを恨むんだな。
「あ……れ?」
そして俺はストレージから課金ガチャで手に入れた日本刀を取り出すと、相手が剣を持っている方の右腕を肩から切り落とし、俺に喧嘩を売って来た自称冒険者ランクSの右腕が『ドチャリッ』と音を立てて地面へ落下する。
うん、やっぱり日本人ならば日本刀だな。
そして、この自称冒険者ランクSの冒険者の知名度はそこそこあったのか、そこかしこから『あの、竜殺しのゴーエンさんの腕が……っ』『ゴーエンさんが抵抗もできずにいとも簡単に右腕を切り落とされた……っ』などの声が周囲から聞こえてくる。
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