第49話 今すぐここへカイザルを呼び出せ
そして私は私のサポートとして仕えている影の一人にこの事を記し、皇帝陛下に渡すように伝えるのであった。
◆
「その話は本当か? パメラ」
「はい、おそらく間違いないでしょう。 現にあの日クヴィスト家で開催されたパーティーへ参加したもの全てに、あの日何があったのか聞いてみたのですが皆同じようにあの日何があったのか、何一つ語る事はありませんでした。 それこそ、あの日何を食べたかという事さえです。 いくら皆が裏で繋がっており、あの日の出来事は隠そうという事になっていたとしても何を食べたか、どういう料理があったのか天気はどうだったか等まで話さないというのは不自然であり異常でございます。 それこそあるとすれば契約魔術により『あの日の出来事は他言無用』など、あの日一日すべてを他人に告げることができないなどという縛りを設けない限りは」
「…………なるほど。 確かに、お主からの手紙を読み、こちら側で調べてみたのだが、やはり同じようにあの日の出来事は皆頑なに言わなかった。 そして、やはりお主と同じように契約魔術が施されているという結論に至った為、彼らにかけられている契約魔術を解術しようとしたのだが、今現段階では誰一人として解術できた者はおらぬ。 これはかなり腕の立つものが施した契約魔術であると思われるため、通常通りの解術方法では彼らにかけられた契約魔術を解術する事は出来ないということであろう。 そのことから見ても確かにあのカイザルがこれほどまでの契約魔術を扱えるとも思えない。 そして、これら状況証拠から見てカイザルを隠れ蓑にした組織があり、国家転覆を狙っている可能性もあるというお主の推理も理解できる」
皇帝陛下に手紙を送って三日、私は一人で皇帝陛下の元へ来るようにと連絡が影の者から伝えられた為、今現在皇室にて皇帝陛下とあの日送った手紙の内容について話し合っているところである。
そして、私も皇帝陛下もあの日クヴィスト家に向かった者たちは間違いなく契約魔術を施されており、あの日の事は一切話せなくなっているという考えは同じであったようである。
そして皇帝陛下は深くため息を吐くと、意を決したように口を開く。
「このままここでいくら考察しようともそれは所詮机上の空論の域を出ない。 仕方がないが一刻を争う可能性もある為今すぐここへカイザルを呼び出せっ!!」
「はっ!!」
そして皇帝陛下はそう側付きの護衛である一人にそう命令すると、命令された護衛の一人は走りながらカイザルを呼び出しに向かうのであった。
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