第48話 国家転覆
いや、さすがに学園の中でも平民たちと比べてもまだ下の方のランキングにいるようなレベルのあの屑がダグラス様にどう足掻いても勝てるわけがない。
それこそダグラス様が逆立ちをして戦ったとしても絶対にだ。
それだけダグラス様とあのクズとは持っている物すべてが違うのである。
しかしながらこれで私はあの日、リリアナ様とダグラス様が婚約を発表する為に開いたパーティーで何かがあったのだという事を確信する。
それも、どうやって用意してきたのかはわからないのだが、あの日パーティーに参加した全員に対して強制的に『あの日起きたことを話せないようにする』魔術か何かを施されているんであろう。 しかもリリアナ様にリリアナ様の護衛やダグラス、さらにはパーティーに参加した貴族たちではどうにもできなかった事が起きたのだろう。
それが何なのかいくら想像してみても何も分からないのだが、分からなくしている最大の原因がそれを実行したのが魔術も碌に行使できないあのクズがやってのけたという事である。
いくら何でもあのクズ一人ではどうしようもない事くらいは少し考えれば分かる事である為、間違いなくあのクズの後ろには今回の件を企てた黒幕がいるのであろう。
ようはあのクズはただその黒幕に利用されただけである。
それなのにあのクズはまるで自分の手柄であるかの如く私だけではなくリリアナ様にまであのような横柄な態度を取りやがって……。
あのクズのおかげではなく、あのクズを利用した何者かの手柄であるという事が分かってしまった今、あのクズの横柄な態度に対してなお一層私は怒りを感じてしまう。
しかしながらここで我を忘れて怒りで思考を放棄してしまっては何か大切な事を見落としてしまいそうだと思った私は深呼吸を一つすると、今一度落ち着いて考える。
なぜクズの後ろにいる黒幕は今回このような大規模な事をしたのであろうか?
いくら魔術で口を封じたところであの人数である。
すぐにその違和感に気付いた者たちが口封じの為に施されている魔術を解術して、あの日何かあったのかすぐに聞き出すであろう。
逆に言えばもう既にそれくらいの時間稼ぎをすれば良いという事でもあり、あのクズを利用したあのパーティーが終わった時点で黒幕の計画はもう殆ど最終局面まで進んでいるという事でもあろう。
「こ、これは早く皇帝陛下に届けなくては……っ。 間違いなく裏であのクズを隠れ蓑に国家転覆を企てている奴らがいるに違いないっ!!」
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