第37話 勝者
「ひ、ひぃっ!! く、来るなっ!! 来るなっ!! 来るなっ!!」
そしてダグラスは恐怖に引き攣った表情で俺に向かって炎魔術段位一【火球】を連続で打ってくるので俺はその【火球】を拳で殴って払い除ける。
「はぁっ!? なんで魔術を殴り飛ばす事が出来るんだよっ!? ふざけんなっ!! ふざけんなふざけんなふざけんなっ!!」
「だから歯を食いしばっておけと言っただろうが。 なんで口を開いて喋ってんだよ? 舌を切っても俺は知らないからな?」
「ぶへぇっ!?」
そして俺はまるで羽虫を叩き落とすかのようにダグラスの放つ魔術を殴って叩き落としながらダグラスの目の前までくると、左ジャブで一発、そしてそれでダグラスがフラついた所で振りかぶると全体重を乗せてフック気味に右を繰り出してダグラスの左頬を殴り飛ばす。
俺に殴り飛ばされたダグラスなのだが、最後の一発でのびてしまったようで口から泡を拭き、白目を剥いて倒れている。
そのダグラスの姿を見て俺はかなりスッキリする。
もうダグラスに関してはこれで良いだろう。
「セバス、何ボケッと突っ立ってるんだ? 早く模擬戦の結果を言えよ」
「ぐっ、しょ、勝者カイザルッ!!」
そして恐らく今回の模擬戦の審判を務めているセバスなのだが間違いなくダグラスが優位なようにジャッジをするつもりであったのだろうし、そうするように裏で父親から指示されていたのであろうが、流石にダグラス本人が気絶してしまっている状態であればどうにもできなかったのであろう。
しかもこの模擬戦では契約魔術で契約された模擬戦であるため審判であろうとも故意に不正を働いた場合は当然デメリットがある為、セバスだけではどうにもできずに俺が勝者であると言うしかなかったのであろう。
いつも見下してくるセバスが俺をまるで苦虫を噛み潰したような表情で眺めてくるのが最高に気持ちがいい。
そしてセバスが俺の事を勝者宣言したのだが、周囲は俺がまさか勝利するとは微塵も思っていなかったのか、いまだに信じられないといった表情で呆けているので俺はここにいる、俺の家族を含めた貴族たちに大事な事を伝える事にする。
「と言うわけで俺がこの模擬戦で勝ったわけで、この瞬間にクヴィスト家を俺が継ぐことになったのだが、今日この日何があったのかを今日この場所であった事全てを口外禁止とするっ!!」
そう俺は言いつつ、契約魔術で半ば強引に契約をさせる。
ここにいる貴族たち程度であれば相手の意思も関係なく契約をさせる事ができるのでやらない手はないだろう。
「あ、あなたっ!! 皇族である私に向かって強引に契約魔術を行使するだなんてっ、どういう了見なのかしら!?」
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