第36話 ぶっ壊してやろう

「熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いっ!!」


 そして炎の竜巻に飲まれたダグラスはのたうち回っているのだが、なんで自分で水魔術を行使して消さないのだろう? と眺めていたのだが、一向に炎を消そうとしないので流石にこれ以上はやばいと思い俺は水魔術である【水球】をわざわざダグラスへぶち当てて炎を消してやると、ついでに回復魔術も施してやる。


 まぁ、水魔術を行使しないんじゃなくて行使できなかったんだろうが。


「お前なぁ、なんで水魔術を使って消さないんだよ。 馬鹿なの? 死にたいの? 死にたいんだったらそう言ってくれれば殺してあげるのに」

「馬鹿かお前っ!! 炎魔術特化に伸ばしている俺が正反対の属性である水魔術を扱えるはずがないだろうがっ!!」

「いや、お前よりも高威力の炎魔術を行使した俺が水魔術を使って消してあげただろう。 そんなくだらない言い訳をしないで素直に水魔術はまともに行使できませんと言えば良いものを。 変にプライドが高くて自分を大きく見せようとするからこんな事になってんだろうが? ダセェな」


 確かにダグラスはそのプライドを持つだけの実力もあり、この世界では基本的に得意な魔術系統をメインに伸ばして他の属性はメインに相性が良い属性をサブで覚えるというのが当たり前であるのでダグラスの言い分は正しいし、そのプライドの高さに合った実力があるのも事実であるのだが、それら全ては所詮俺が居ない世界での話であり、俺がいる限りそんなものはぶっ壊してやろう。


 とは言っても俺に噛みついて来なければ俺も鬼ではないのでこんな面倒臭い事はしないのだが、地面を歩く蟻には興味が持たないのだが噛みついてきたらはたき落とすのと同じ感覚である。


 そしてダグラスの場合はもはや蟻から蚊レベルまで昇華してしまったため最早その存在自体が鬱陶しいレベルである。


 だからこそここで完膚なきまでぶっ潰すのだが、恨むのであれば今までの自分の行いを恨むといい。


「お、お前っ!! そんな事が出来るわけがないだろうっ!! 何か卑怯な手段を使ってるに違いないっ!! この模擬戦は無効だ、無効っ!!」

「そもそもだ。 魔杖も剣も使わず素手で相手をしてやってのに何でそんな噛みついてくるんだよ。 そもそも例え俺が何かしらの魔術具か何かを使っていたとしても魔杖を使っていない時点でかなりのハンデになる上にお前は俺と違って魔杖剣を使っている時点で卑怯もクソもないだろう? あぁもうわかったよ。 魔術も武器も使わないよ。 お前ごときこの身体一つあれば余裕でぶっ飛ばせるしな。 じゃぁ、流石にもう長引かせる必要もないからこれで終わらそうか。 とりあえず、今からその腹立たしい顔をぶん殴って終わらしてやるから歯ぁ食いしばれやダグラス」

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