第35話 仕切り直しと行こうか



 そして俺はそう言いながらストレージから最高レア度の魔杖剣を一振り取り出すと、ダグラスへ見せつける。


 結局この魔杖剣はかなり苦労して素材を集め、課金アイテムもかなり注ぎ込んで作ってみたは良いもののどっちつかずの微妙な武器が出来上がった苦い思い出を思い出す。


 結局魔術系の魔術師と戦闘職の剣士との両立がそもそもお互いの職種が足を引っ張ってしまい、良いところを伸ばすどころか良いところは伸びなくなり悪いところは少しだけ改善されるというなんとも言えないステータスになってしまうので、その結果魔杖剣もまた微妙な武器になってしまう悲しい結果となってしまった。


 そんな過去の思い出に懐かしく思っている俺とは違い、ダグラスは俺がストレージから出した魔杖剣を口を開きっぱなしで見つめているではないか。


「おい、そんな口を開けて俺の魔杖剣を眺めてどうしたんだ?」

「お、お前っ! どこからそれを盗んできたんだよっ!? ふざけるなっ!! そんな高性能の魔杖剣をお前ごときが持っている訳がないだろうっ!! そもそも、俺の持っている魔杖剣よりも性能が高いものがある訳がないし、明らかに存在自体がおかしい一振りではないかっ!?」

「いや、だからお前が持つ魔杖剣はゴミだっていっているんだからそれ以上の性能を持つ魔杖剣があるということでもあるし、それを俺が持っているのがおかしいとなる理由が分からないんだが? しかしまぁ、俺がこの魔杖剣を使うと卑怯だなんだと文句を後々言って来られても面倒だからこれは使わないでおくよ」

「ば、馬鹿にしやがてっ!!」

「ハハハハハッ! 流石にバレたかッ!」


 俺はダグラスを煽るだけ煽ると一旦距離を取るために後ろへ下がる。


「さぁ、仕切り直しと行こうか。 どうせあそこから攻撃してボコっても卑怯だなんだと文句を言うのは目に見えているからな。 お前ごとき雑魚ならば何度でも回復させて仕切り直しした上でボコってやんよ。 次はお前が魔術を詠唱し終えるまでちゃんと待ってやるからさ」

「ふざけやがって…… 炎の魔術段位三【炎竜巻】」

「じゃあ俺も同じ魔術を行使するわ」


 そして俺はダグラスが行使した魔術を無詠唱で発動する。


 そしてお互い同じ魔術を行使しているので威力的には普通に考えれば互角であるのだが、今の俺はゲームで手に入れた魔術の威力を上げる数々のアイテムのおかげで威力は跳ね上がっている訳で、当然ダグラスの魔術を潰しても消えることなくそのままダグラスへと襲いかかる。

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