第32話 死ぬまで拷問してやる
「それじゃぁ、ダグラスへの回復魔術が終わったら模擬戦を開始する事で良いか?」
「絶対にぶっ殺してやる……っ」
「本人の了承も得た事だし、じゃぁそうしようか。 おばさん、何ちんたら回復魔術をかけてんの? やる気が無いなら邪魔なだけなんだからどけよ」
「は? なっ、貴様っ!! 私に向かってそんな言葉をかけてただですm──」
「はいはい、そんなのはもう良いから。 邪魔だっつてんだろ? 何? 聞こえないの?」
「ひっ!?」
そして俺は未だにちんたらと弟であるダグラスへ回復魔術をかけている母親に退くように言うと噛みついて来ようとするので少しだけ殺気を飛ばして黙らし、静かになった所で俺は光魔術段位三【光の癒し】を行使して自分が殴って与えたダグラスのダメージを回復させる。
ここで水魔術での回復系魔術ではなく、光魔術で回復させてあげたあたり、帝国の癒しの女神とその昔言われていたにも関わらず光魔術は扱えないというコンプレックスを持つ母親へ俺なりのサプライズでもある。
そんな息子からのサプライズに喜んでくれれば良いのだが、横にいる母親に目を向けると唇を噛んで血がしたたり落ちる程喜んでいるようで何よりだ。
「おい、いつまで地べたに座ってんだ? お前みたいなゴミムシをわざわざ模擬戦前だというのに俺の魔力を消費してまで回復させてやったんだからさっさと模擬戦をする準備をしろよ。 マジで使えないのな」
「グギギギッ! 黙れっ!! もとはと言えばお前が奇襲をしたのが悪いのだろうっ!?」
「は? 奇襲をしたのは俺ではなくお・ま・え。 反撃されたから自分から仕掛けた事がノーカンになる訳ないだろ。 使えないどころかマジでバカなんだな? お前」
そして俺は今までの鬱憤を晴らすかの如くダグラスへここぞとばかりに今まで言われてきた言葉を殆どそのままダグラスへと投げかけて行くのだが、流石にこんな茶番を続けては来客してくれた貴族達に悪いのでさっさと模擬戦を初めてどちらがクヴィスト家を継ぐかを決める事にする。
「絶対に潰してやる。 このままで終わると思うなよ? この模擬戦が終わったらお前を地下に閉じ込めてから死ぬまで拷問してやる……っ!!」
「うん、我が弟ながら実にいい顔だな。 それでこそやりがいがあるってもんよ。 じゃぁ、始めよう」
そして俺達は修練場の真ん中までくると、お互いに試合前の挨拶という名の中傷をやり合い、模擬戦を開始する。
開始の合図である執事のセバスの爆発魔術を縮小させた破裂音が聞こえた瞬間弟は何かしら魔術を行使しようとしているのが、発光し始める魔杖剣から見て取れる。
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