第31話 丁度良い頃合い
「まさか。 それよりもダグラスは良いのか? 魔杖剣なんか使って丸腰相手に負ける事になるんだが、お前こそそれで良いのか?」
「貴様っ、言わせておけばっ!!」
そして向こうが煽って来たのでお返しにこちらも軽く煽ってやるとダグラスは怒りの感情を我慢する事ができずに俺に殴りかかって来るではないか。
今までは感情のまま殴ってくるダグラスの暴力を受け止めなければ、避けたりでもした日には更に倍以上の暴力に襲われる羽目になる為避ける事も出来なかったのだが。
だが、もうそんな事に怯える必要はないのでひらりと躱す。
そもそも、魔術と剣術は家庭教師も雇いかなりの腕前なのだが丸腰での武術系は一切習って来なかった為少し後ろにスウェーするだけで簡単に避ける事ができるパンチなど、以前であればいざ知らずレベル差が開きまくっている現在では当たる方が難しい。
「そんなハエが止まるようなパンチなど当たるわけがないだろう。 バカなのかな? いや、バカなのだろう。 そしてこれからの模擬戦はいかに俺の家族がバカばかりなのかをここに来てくださった貴族の皆様方にお披露目すると共に、お前たちがバカ故に俺がクヴィスト家を継ぐのだという事を知らしめる為の模擬戦として俺が使ってやるよ」
「ぐふっ!?」
そして俺の煽りにダグラスはただでさえ怒りで真っ赤になっていた顔を更に顔を真っ赤にしてパンチを繰り出してくるので避けるついでにお腹を一発殴ってやると、鈍い声を発しながらお腹をささえてその場にうずくまるではないか。
なんと情けない弟か。
「き、貴様っ!! 模擬戦前にダグラスに攻撃してダメージを与えやがったなっ!! これは反則にあたる為この模擬戦は取り消しだっ!!」
「あ? 先に顔面を、それも二回も攻撃してきたのはこのバカだろうが? なぁ親父、お前の目は節穴か? それに顔じゃなくて腹なだけありがたいと思えよ?」
その光景を見た父親がようやっと弟では勝てない可能性があると思い始めたのかここぞとばかりに模擬戦の取りやめを言い出すのだが、勿論そんな言葉に乗ってやるつもりは無い。
「あぁ、私の愛しいダグラスちゃんっ!! 今お母さんが回復魔術をかけてあげるからねっ!!」
俺と父親がそんなやり取りをしている横で母親がダグラスに回復魔術をかけ始めるので、それが終われば模擬戦を始めれば良いだろう。
ダグラスも俺に殴られた事を認識したのか今まで見た事も無い程の怒りをその目に宿しているので丁度良い頃合いだろう。
──────────
33話から模擬戦が始まります。
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