第21話 悪い意味で


「そこまでご主人様から求められたのならば仕方がないわね。 答えを教えてあげるのもやぶさかではないわ。 でもどうしようかしら?」


 こいつ、俺が命令すれば簡単に口を割らなければならないという事を知っているにもかかわらずなんでそんなに強気でいられるのか。


 命令しないという俺の善意の上に立っている状態にもかかわらず、尚も不遜な態度で主人である俺に対してあくまでも強気な態度で話してくるシシルの事が、腹が立つのを通り越して尊敬すら感じ始めてくる。 悪い意味でなのだが。


「まったく、仕方ねぇな。 口論するつもりは端から無いしこれ以上は流石俺もシシルの相手をするのは面倒臭いから命令をする。 流石にこればかりはすぐに説明をしなかったシシルの責任だから劣等種に命令されたと逆恨みはするなよ? 『どうして俺の居場、ピンポイントでこの部屋が俺の部屋であるのかが分かったのか。 そしてどうやって俺以外は入って来られないようにしていたこの結界を張り巡らしている部屋の中へと入って来る事ができたのか説明しろ』」

「あぁんっ!! 『分かったわ。 隷属にされているという事は即ち、私はご主人様の所有物という事になるわね。 そしてご主人様が張り巡らしている結界だけれども、そうね、例えば今ご主人様が着ている衣服も一緒に結界の中へと入れないようにしないと、この結界の中に入るにはご主人様は素っ裸にしないと入れないようになってしまうので必然的にご主人様の所有物もまた結界を張った本人同様に結界ないに入れるようにしなければならなくなるわね。 そして、そのおかげでご主人様の奴隷に落とされる事によってご主人様の所有物となった私もまた先ほど説明したように入る事ができるということなんだけれども、そんな単純なことすらも分からないようだなんて、ほんとご主人様は私がいないとダメなのかしら。 まぁ、私はできる奴隷だから仕方がないのだけれども。 後、ご主人様の居場所なのだけれども、奴隷に堕ちるという事はご主人様と私とで魔力のパスが繋がっている、それも奴隷というだけあって強固な繋がりができてしまうのだけれども、私レベルの優秀な魔術師ともなれば逆にそのパスを辿ってご主人様の居場所など簡単に逆探知できてしまうわね。』」


 そしてシシルは俺の命令の通りに聞きたい内容を丁寧に教えてくれ、そしてその内容を聞いて俺も納得する。


 要はこの結界に入れるのは俺の着ている衣服も一緒に入れるのと同じ理屈であり、俺の居場所を突き止めたのは隷属関係とう魔術的な繋がりを利用して逆探知をしたという事のようだ。

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