第15話 逆に気持ち悪い
そして俺はシシル先生に跳ね返した魔術、拘束魔術と隷属魔術を解術する。
するとシシル先生は拘束された状態からいきなり解き放たれた為床に崩れ落ちる。
それを見てちゃんと解術できたのだと思っていたのだが、床に崩れ落ちて四つん這いに近い状態になっている今のシシル先生の体勢からもろに見える胸の谷間には未だに隷属された証である紋様がくっきりと浮かび上がっているのが見える。
そんな馬鹿な。 俺は確かに解術を発動させたし実際に拘束魔術は解術されている訳だから隷属魔術だけが解術されないなんて事はあり得ない。
そう思って俺のステータス画面を開きくと、所有物の欄にシシル・シシルカ(奴隷)という文字が残っているではないか。
「ふふふふふ、そう簡単に私を奴隷から解放できるとは思わない事ねっ」
想定外の結果に少しばかり慌てふためく俺の姿を見てシシル先生は不気味な笑いをしながらそんな事を宣うではないか。
「ま、まさかっ!?」
「そのまさかよ。 隷属の魔術を解術しようとした場合は隷属されている者も解術される事を求めなければ解術することは出来ない。 その事くらい貴方であれば流石に知っているわよね?」
「知っている……知っているが、だからこそ意味が分からない。 俺の奴隷には成りたくないのだろう?」
一体シシル先生は何を考えているのか、全く読めないのが逆に気持ち悪い。
「本当であれば貴方の奴隷なんかまっぴらごめんよ」
「であれば何故?」
「貴方、人族の癖にこの私を奴隷にした事を『なんのメリットも無い。 こんな奴隷は嫌だ』というような事を言っただけではなく私のこの完璧な身体を前にして『鬱陶しい』などと言われては、はいそうですかと奴隷解術を受け入れるのは私のプライドが許さないわ。 絶対に私の身体無しでは生きて行けない程骨抜きにしてやるから覚悟する事ね。 そうなったら奴隷解術を受け入れるかどうか判断してあげる」
そしてシシル先生は何故か上から目線の態度でそんな事を宣って来るではないか。
なんかもう数百年間凝り固まったプライドのせいでシシル先生自身、今言っている内容を理解していない気がして来た。
「なら強制的に解術するまでだな」
もうこうなっては本当に奴隷として置いておくにはデメリットが大きすぎると判断した俺は解術より更にもう一段階上、光魔術段位三【強制解術】を行使して強制的にシシル先生にかかっている隷属魔術を解術する。
そして、シシル先生の胸元にあった紋様が確かに消えている事を確認すると、俺はホッと胸を撫で下す。
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