第12話 帝国の魔女
そして俺はシシル先生がバインド系の魔術を行使した瞬間に合わせて、跳ね返す魔術を行使してシシル先生を魔術で縛り上げて身動きが取れないようにする。
「は? え? なんで私が行使した魔術に縛られているのっ!?」
しかし、自らの魔術を跳ね返されたというのにその事に気づきもしないシシル先生を見て、基本的に人間種の中でも魔術に長けていると言われているエルフ族のシシル先生ですらこの反応とは、いかにこの世界の魔術がゲームの世界と比べて遅れているかというのが窺えてくる。
「あれ? 魔術
そして俺はここぞとばかりにシシル先生を煽る。
どうせこの無駄に肥大したプライドを持っているシシル先生の事である。
見下している種族かつ、その種族の中ですら劣っている俺から馬鹿にされればどのような行動に出るのか簡単に想像がつく。
そもそもシシル先生は俺へ魔術を行使する前にこう言ったのである。 『魔術で分からせた後に奴隷化して捨てる』と。
ならばこの状況でシシル先生がやる事は一つ。
「ま、魔術も碌に扱えないような劣等種の人族の癖に、エルフであるこの私に向かってその態度、絶対に後悔させてあげる。 もうただ奴隷化させて捨てるだけでは生温い。 生きるのが嫌だって思えるまで可愛がってあげてから捨ててあげるわっ!!」
そしてシシル先生はキレて無駄口を叩いている風を装って無詠唱で魔術を構築しているのがバレバレである。
一応無駄口を叩いている間に無詠唱で魔術を構築していくという小細工ができるくらいには冷静さを取り戻して来ているようなのだが、それでも自分の魔術が跳ね返されたという事を考慮できていない時点で頭の中は怒りで支配されまともな思考ができておらず行動が短略的になっているのが窺えてくる。
これが、あの『帝国の魔女』と他国に恐れられているシシル・シシルカとは、なんとも情けない事か。
そして未だにエルフである自分の方が優位であると思っているシシル先生は先ほど魔術を跳ね返された事など無かったかのように無詠唱で魔術を行使する。
そして俺は再度シシル先生が行使した魔術を跳ね返す。
跳ね返した魔術はやはりというかなんというか隷属の魔術であったようで、いつも見せびらかしている豊満な胸の谷間から隷属された証である紋様が心臓がある箇所の肌に浮かび上がっているのが確認できる。
しかし、魔術を行使した本人であるシシル先生は未だに跳ね返された魔術に拘束されており、隷属魔術まで跳ね返されている事に気づいていないようである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます