第13話 side 南條先生 後編

―――神から権能を授かりし我が神器よ その権能を我が眼に宿らせ『すべてを見透す眼』とならん―――



 "神眼 すべてを見透す眼"




 優吾の両眼が金色に光る

「よし、問題なさそうだな」


 神器それは神の力の一部、神の権能を授かりし物質、剣、弓、盾、斧、はもちろん義手、義足、義眼。世界に認められた時、その時に必要な物に変化する。神器の力を最大限に引き出せるならば、神に匹敵する力を持てる故に”最強”である。南條優吾もまた世界に認められ神の権能を宿した義眼をその身に宿している。


「さぁ、探しに行こうか。固有スキル【探知】×神器 すべてを見透す眼」


 合技 神の捜し人


 合技 神の捜し人、その能力は術者が捜している人、物の場所が分かるものだ無論デメリットがある。人物ならその人の特徴を明確に分からなければ捜し出せないし、物ならどんな形をしていたかを思い出せないと捜し出せない。だがその能力は破格だ流石は神器を利用した力だ。


「捜し人は、佐々木紅炎、白川凛、青木晴翔、大久保俊道、柊木零、日下部広人だ」

 優吾の体から黄金色のオーラが溢れ出し、球状に広がっていく。本来なら膨大な情報量が優吾に入り込んでいき頭痛どころではない痛さがが襲ってくるのだが、流石は神器というわけだ、膨大な情報量をすべて処理し、必要な情報だけを主に届ける。


「いた、これは・・・イエロービックウルフ!ということは60階層か!」

 いかに学校で強い者たちを集めたチームとはいえ所詮は学生、もって10分〜20分といったところだな。今から本気を出せば10分でつく。必ず、間に合わせる!


  ◇  ◇  ◇


 とにかく、無心でそして最短距離で生徒たちの元へ向かう。だが創太の言葉が頭にちらつく『生徒の中に呪いの武器を使っている者がいるぞ』

 薄々、分かっていた。人は生まれながらにしてだいたい3つ固有スキルを持って生まれてくる、ここで重要なのは”だいたい3つ”ということだ。

 2つの固有スキルを持って生まれてくる子供がいれば4つ、5つの固有スキルを持っている生まれてくる子供がいる、無論、1つしか固有スキルを持って生まれてくる子供もいる。だが、固有スキルを何個持とうが普段生活はほとんど変わらない、問題は探索者になるか否か、そして当たりスキルか外れスキルかの差だ。

 ダンジョンの中にいる魔物は強い、だから当たりスキルやメインスキルとも言われる攻撃力の高いスキルがダンジョン探索には必須なのだ、勿論、外れスキルが使えないわけではない、俺も外れスキルやサブスキルと言われる【探知】を持っているが、ダンジョン探索にはもってこいのスキルだ。だが、それだけでダンジョン探索ができるかと言われたら否と言うほかない。だからこそ、おかしいのだ。1つの固有スキルを持って生まれ、しかもその1つが外れスキルに分類されるサブスキルなのに一人でダンジョンに潜っている。明らかに異常だ。

 探索者とギルドが認めるのは、ギルドがこの人物はダンジョンに潜る力があると明言するのと同じだ、ギルドの方針としては、何があっても自己責任だ。

 俺たち『神の使い』がしている呪いの武器の回収は傍から見ると窃盗だ。だからこその使用者の説得なのだ。法律などダンジョンが出てきてから、有って無いようなものだができるだけ守らなければならない、人が人であるために。最近は警察側が元探索者たちを集めてなにかしようとしているが、まだ先のことだし、もし、探索者だけの警察の部署が出来ても呪いの武器の詳しいことは、一部の者しか知らない。

 呪いの武器は使用者を破滅に導く。だから伝えなくてはならない呪いの武器の使用者に、日下部広人君に





  ◆   ◆   ◆


 第60階層 ボスエリア 黒繭内部




 広人が目を覚ますと暗い空間にいた。


「暗い、ここはどこだ?確か、後ろから衝撃を受けて気を失っていたはずだ」


「ここはお前の夢の中だ」


 目の前には俺よりも少し大きな男が立っていた。


「誰だ?お前」


「俺?俺はラースだ、憤怒ラース

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