第12話 side 南條先生 前編

 俺の名前は南條なんじょう優吾ゆうご。クラン『神の使い』の最高幹部で今は日本に7つしかない探索者育成学校の特進クラスの教師をしている。今日は、特別実習訓練の実行日だ。


 第21ウルフダンジョン内部 11階層


「あ〜、暇だな〜」

 俺がそう愚痴を言っていると横から声が聞こえてきた


「先生がそんなこと言っていいのか?」

 横にいたのは南條と同時期に『神の使い』に入ったB級探索者の遠藤えんどう創太そうただ。例年通りならC級探索者を数人だが、今年は人数が多いためB級探索者が一人参加しているのだ。


「ああ、なんだ、創太か。別にいいよ、どうせたいした魔物なんて出やしねよ」


「・・・わかっていると思うが、生徒の中に呪いの武器を使っている者がいるぞ。元々疑いがあって序列21位の俺がきたが、間違いなく呪いの武器を持っている。優吾、『神の使い』が呪いの武器を見つけた時の対処法は知っているよな?」


「ああ、回収及び使用者の説得だろ」


「そうだ、使用者にどんな事情があろうと、あんな物使わない方が良い。」

 そう言って創太は持ち場に戻った。


   ◇   ◇   ◇


「では、これからダンジョンを出る。11階層への入り口のあたりに転移魔法陣がある。転移魔法陣は、一気にダンジョンの入り口まで戻れるが、一回使うと1分間使用不可になる。転移する順番は、11階層についた順番で行く。一番は紅炎チームだな。では、魔法陣に乗ってくれ」


紅炎たちが転移魔法陣に乗ると転移魔法陣が赤く光った。


「まずい!直ぐにそこから離れるんだ!」

 そう叫ぶがその時にはもう遅く転移が完了してしまった。


 どうする、どうする、俺なら一人で探しに行き助けることができる。だが他の生徒たちはどうする、転移魔法陣を使うか?だが転移トラップが発動したばっかりで生徒たちに使わせるの危険だ。いや、そもそも転移トラップ自体一年間で一回あるぐらいの確率だ、なら使わせるか?いや、だが―――


「――ご、優吾!悪い癖が出てるぞ!今はお前が最高責任者だ!お前が焦ってどうする!落ち着いてでいいから、指示を出せ!」


「ああ、すまない。・・・創太、生徒たちを守りながらダンジョンの外まで送れるか?俺は直ぐにあの子たちの捜索に行く」


「わかった。だが一つ言っておきたい事がある。俺の天使武器から呪いの武器の反応がなくなったと連絡がきた、つまりあのチームの誰かが呪いの武器を持っている事になる。気をつけろお前が間に合わず、呪いの武器の所有者が代償を超えた力を使えば近いうちに死ぬぞ。俺たちが呪いの武器を回収するのもそれを阻止するためが理由だからな」


「ああ、わかっているさ」



  ◇   ◇   ◇


「出来れば使いたくなかったがしかたない」

―――神から権能を授かりし我が神器よ その権能を我が眼に宿らせ『すべてを見透す眼』とならん―――


 "神眼 すべてを見透す眼"




 優吾の両眼が金色に光る

「さぁ、探しに行こうか」

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