第42話 かき氷はカレーくらい奥が深いかもしれない

夏休み…と言っても家でだらだらするのは俺だって変わらない。朝走りに行って疲れたし…


奏「お兄ちゃん~」


自分の部屋でくつろいでるときに奏が声をかけてきた。なんだ?


奏「ふっふっふ…控えたまえ」


藍「どうした?さっきガチャガチャしてたのは奏だろ?」


奏「聞いて驚け!見て笑え!じゃじゃ~ん!!」


奏が自信満々に出してきたのは…


藍「これは!?うちにあったのか!?」


奏「掘り出しました!やるでしょ?かき氷」


藍「やるしかないね」


かき氷機。うちにあるとは思わなかった。よく見つけたな…


奏「だよね。のってくれると思った」


藍「とりあえず…これ使える?氷作る用のカップは?」


奏「それもあった。もう冷凍庫で氷作ってるよ」


藍「砂糖は?」


奏「当然混ぜてます」


藍「完璧じゃないか」


かき氷は砂糖水を固めて作ると美味しいです。やってみてください。


藍「で、このタイミングで俺に声をかけたということはあれだな?」


奏「はい。行きましょう」


というわけで買い物に出る俺たち。


藍「だよね~荷物持ちだよね~」


奏「シロップは流石になかったから」


藍「フルーツも買うか?」


奏「いいね」


藍「お金足りる?」


奏「お母さんにLINEしたらあとで払うから好きなの買っていいらしい。私も食べたいからって。練乳忘れたら殺すって書いてある」


藍「了解。イチゴを買うね。練乳ときたらイチゴでしょ」


奏「だね、あとなんだろ?パイナップルはあんまりかな?」


藍「う~ん、合わないことないと思うけど…」


奏「かき氷関係なく食べたい」


藍「…カットされたやつ買うか?」


奏「え?荷物持ちがいるんだから1玉買っちゃおうよ」


藍「殴るぞ」


奏「きゃ~」


藍「あとパイナップルの切り方が分からない」


奏「…それは私も」


藍「…さくらに聞くか」


奏「さっすが。やった~」


藍「シロップ、練乳…チョコチップとか買うか?」


奏「いや、それは良いかな」


藍「おけ、こんなもんか?」


奏「ねえ…」


藍「ん?」


奏「コーラとかメロンソーダかけても美味しいのかな?」


藍「邪道すぎない?」


奏「でも!だめ?」


藍「~~やるか」


奏「いえ~い流石お兄ちゃん」


必要なもの(必要以上のもの)を買って俺たちは家に戻る。


藍「…いや~高くなったな」


奏「レシート見たら怒られそう…その時はバイトしてるお兄ちゃんに縋ります」


藍「お年玉奪うぞ」


奏「勘弁して」


家に着いて手洗いうがいをしっかりしたのち(ご時世的にね)…


奏「待ちに待ったかき氷タイムですよ!!」


藍「ちょっと待ってね…今さくらにパイナップルの切り方聞いてる。先進めといて」


奏「わかった~。イチゴのへたとって…バナナは薄く切ってかな?コーラとか先に冷やしとこ」


それぞれが仕事を始める。普段、奏はそこまで手伝いをする方じゃないのだが好きなものの時はかなりしっかりやる。唐揚げの時とかニコニコで鶏肉の味付けをして揉み込んでいた。野菜炒めの時は食器すら運んでくれなかった。


藍「ふむ…?え?硬くない?こういうもの?」


さくら「大丈夫ですよ、手を切らないでください」


藍「うん…次は?」


さくらの指示を聞きながらパイナップルの解体を進めていく。


奏「フルーツも凍らせちゃお、ドライフルーツみたいな」


藍「それだと乾いちゃうぞ」


さくら「んんっ!」


電話越しのさくらがつぼった。


奏「ホントじゃん。まあいいや。このジップロックでいい?」


藍「こっち、冷凍対応の方使って」


奏「あいあい」


ガチャ


ん?


お母さん「ただいま~」


藍、奏「「おかえり~」」


お母さん「あら、かき氷の準備中?いいわねえ…なんかもの多くない?」


奏「ソンナコトナイヨ」


お母さん「レシート出しなさい」


奏「その机の上…」


お母さん「…」


何その沈黙怖い。


さくら「藍君、よそ見してると手を切りますよ」


藍「一応見てるから大丈夫」


お母さん「ん?藍、だれ?今の子。通話中?」


藍「うん、クラスメイト。パイナップルの切り方を教えてもらってる」


お母さん「あらあら、それはご迷惑を」


さくら「大丈夫ですよ~」


お母さん「良かったらかき氷食べに来てください」


さくら「え?」


藍「え?」


奏「え?」


お母さん「こんだけあるなら大丈夫でしょ」


藍「いや…まあそうだけど…くるか?」


さくら「いいですね。行きます」


お母さん「他にも誘っていいわよ」


藍「いうて今日って…富咲は親の用事、菜乃が他の子と遊び、ルナは撮影、里香とヒデは…暇してそうだな」


それぞれに電話をかける。


里香「ちょっと…ついさっきアツアツのラーメンを食べてしまって…冷たいものは…お腹壊しちゃいます」


藍「引き篭もってねえだろお前」


里香「失敬な、しっかり調理ロボットの作ったラーメンです!」


藍「…今度な」


里香「はい…すいません」


里香はだめだった。


ヒデ「いく~」


藍「おけ、家の位置覚えてるか?」


ヒデ「表札あるよな?」


藍「うん」


ヒデ「じゃあ行ける。いつ行けばいい?」


藍「すぐこ~い」


ヒデ「わかった3分もかからん」


藍「物理的に、人間として15分くらいかかろうよ」


というわけでさくらとヒデが来そうだ。


お母さん「じゃあ…藍はそのまま進めてな。奏、私と片付け」


奏「げえ~!」


お母さん「今日の無駄遣いをチャラにしてあげるから」


奏「はいはい~」


奏がお母さんに連れていかれる。


そこで俺の携帯に電話がかかってきた。


藍「もしもし?」


ヒデ「藍~本当に表札出てるか?『藍』なんて表札どこにもないぞ?」


え?まじで言ってる?いや…マジだろうな…


藍「ヒデ、よく聞け」


ヒデ「ん?」


藍「俺の苗字は広瀬だ」


――あとがき――

ヒデとかいう超オチ要因。

そして大寒波が来てる中、かき氷の話を出すのいかれてる。


面白かったりかき氷食べたくなってきた人は星やコメントやレビューお願いします。

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