第34話 ハンバーグと冷やし中華の好みは戦争を起こせる

藍「…そうなるのね」


さくら「おはようございます」


学校の無い休日。ショッピングモールで俺はさくらと偶然出くわした。

偶然である。多分、絶対、恐らく。


さくら「藍君はどうしてここへ?」


藍「普通に買い物だよ。本とか文房具とか。さくらは?」


さくら「私は服を買いに来ました」


藍「ああ~俺も新しい夏服欲しいな」


さくら「一緒に見て回りましょう。試着するので感想とか聞かせてください」


藍「良いけど…」


あれ?女子の買い物ってこんなノリで付き合っていいのか?


さくら「そこまで時間はかかりませんよ。藍君も服探したら見せてください。採点します」


藍「何点から買っていいの?」


さくら「90点?」


藍「…」


俺は今日お金を使えるのか…?


そこらへんの普段はいらないような女性用の服屋に入るさくら。俺用の服があるとは思えないが…


さくら「どうでしょう?」


藍「はや!もう決めて、試着したの?」


さくら「はい…?そりゃいい感じに組み合わせるだけですし」


藍「いや…そうだけど…」


てかこうしてみるとスタイルもいいし顔立ちも整ってるから…似合うな…


さくら「いい感じっぽいですね。これは買いましょう」


藍「何も言ってないじゃん!!また作者か?」


さくら「いや、表情見ればわかります」


藍「そんな分かりやすかった?」


さくら「こうしてみるとスタイルもいいし顔立ちも整ってるから…似合うな…って顔してました」


藍「どんな顔!?完璧に読み切ってるじゃん!」


さくら「菜乃も同じような反応をしたことがあります」


藍「同格扱いされた…」


さくら「そのリアクションは菜乃に失礼ですよ?」


藍「確かに。ごめんね。多分この話には出てこないだろうけど」


さくら「そうですね、1話から出てる仲間としては寂しいですね」


藍「よくそんなこと覚えてたね」


さくら「昔のこと感出さないでください。まだ全然ですよ」


藍「ちょっと日常が濃すぎて」


さくら「気持ちはわかりますけど。そろそろご飯食べますか?」


藍「いい時間帯だしね。何食べる?」


さくら「じゃあカツ丼で」


藍「がっつりいくね…」


さくら「テストで勝った記念です」


藍「いいよ~俺も食べよ」


俺たちはカツ丼を食べれる店に入る。


さくら「かつ丼定食がありますね。藍君は?」


藍「同じので。水取ってくるね」


さくら「頼んでおきますね」


藍「お願い」


さくら「すいませ~ん」


俺はウォーターサーバーに水を取りに行く。なんかこの感じ…


さくら「老夫婦みたいな連携ですね」


藍「少し思ったけど言わなかったのに…」


さくら「まあ今日くらいは作者に楽をさせてあげましょう」


藍「どういうこと?」


さくら「こっからのメンツを思い出してください。まずまともな会話劇にはならないですよ」


藍「今までの描写のせいで説得力がすごい」


さくら「私たちは多分書きやすい部類ですからね。次来たとき鮭の塩焼きにしましょう」


藍「そこか~。俺は冷やし中華が気になってたけど」


さくら「いい時期ですよね。ここ醬油だれだった気がしますが良いんですか?」


藍「俺は醤油派だよ?ゴマだれも美味しいけどね」


さくら「一緒ですね。さっぱり派です私も」


藍「ハンバーグは?」


さくら、藍「「おろしポン酢」」


おお、お見事。


藍、さくら「「あはは!」」


さくら「今度作ってきますよ」


藍「いいの?」


さくら「はい、藍君は好みが似てそうなので自信あります。食べに来てください」


藍「それはありがたい申し出だけど…」


さくら「おうちデートですね」


藍「急に行きづらくしないで」


さくら「冗談です」


そんな話をしていたら料理が届いた。話してると時間が経つのが早い。


藍、さくら「「いただきます」」


カツ丼を食べる…おっサクサク。


藍「美味しい」


さくら「ですね、やっぱカツ丼は出来立てですね」


藍「間違いないね、サクサク感大事だよ」


さくら「そうですね。定食なので味噌汁があるのもありがたいですね…」


藍「渋いよ言ってること…」


さくら「今は夏ですからそこまでですけど冬になると暖かい汁物って手放せなくて…」


藍「うわあわかる…コーンポタージュとかね」


さくら「美味しいですよね~。別世界の時間軸になってしまいますがお雑煮とかも大好きです」


藍「いいね~お腹空いてくるね」


さくら「食べながらですか?」


藍「話振ってきたのはそっちじゃん」


さくら「私はそこまで大食いではないので」


藍「俺だってそうだよ」


お喋りしながらカツ丼を食べていく。なんか普段より落ち着いた食事で良いな…


さくら「ふう~食べました~ごちそうさまです」


藍「ご馳走様。少し休む?」


さくら「いえ、私は食べてすぐでも動けるタイプです」


藍「流石。じゃあいこっか」


お会計を済ませる。次に言うとしたら俺の服か?


さくら「普段どこで服を買うんですか?」


藍「いや…安物を適当にだよ…」


さくら「まあそれでもいいとは思いますけど…少しだけ贅沢しましょう。1シーズンにつき1着は良いものを持ってると良いと思いますよ。それを着る日は少しだけウキウキします」


藍「さくらもそういうのあるんだ…」


さくら「私のことをなんだと思ってるんですか?」


藍「完璧超人」


さくら「まあそうですね」


藍「謙遜どこ行った?」


さくら「謙遜は時に嫌味ですよ?」


藍「ぐうの音も出ねえ」


さくら「う~ん、はいこれとこれ。あとこれ。着てみてください」


店に入って軽く見て回っただけなのに即決していく。

試着してみると良い感じだ。何より…好み。


さくら「思った通り似合いますね」


藍「ありがと、俺が好きな感じ」


さくら「でしょうね。イメージありました」


藍「もうこれでいいわ。買ってくる」


さくら「は~い」


今までで一番早く服を買えた気がする。今度から服を買う時はさくらに頼ろう。

会計を終えてさくらのもとに向かうと…


さくら「アッ藍君」


藍「どういう状況?」


男数人がさくらの周りにいるのだが…1人をさくらが締めあげている。


さくら「少し絡まれちゃいまして…」


藍「…そう」


そこは俺が助けるフラグでは?自力で解決するなよ…


藍「こんなにお膳立てされてもラブコメ展開にならない世界線もレアだろうな…」


2分で解決してきた。


さくら「帰りましょうか。今日は付き合ってもらってありがとうございました」


藍「こちらこそ。服選んでくれてありがとう~」


さくら「では気を付けて」


藍「そっちも、また学校でね」


俺たちはそれぞれ帰路につく。


さくら「ただいま~。夜ごはんって作っちゃってる?」


さくら母「まだだけど?」


さくら「じゃあ私が作る」


さくら母「あら?ありがたいけど…どうしたの?何か作りたいものが?」


さくら「おろしポン酢のハンバーグ」


――あとがき――

平和すぎる…ずっと書いてたい。


面白かったりいいペアだなって思った方は星やコメントやレビューお願いします。

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