operation start

 すぐにブリーフィングとでもいうのだろうか、今回の作戦に関する内容を私設の傭兵の隊長らしき人物がそれを全員に伝えるのが始まり、僕とアヤメはそれを聞いた。

僕とアヤメは完全に二人で行動するということだった。

予想外にもシロタは改造人間以外にも、傭兵

を雇ったのか、武装した人間が船の周りを囲っているということで、黒百合の部隊が二手に分かれ、まず奇襲をかける。

海側から船に近づく部隊、そして陸から船に乗り込む部隊という形で僕とアヤメ、そして依乃里さんは陸のほうから船に侵入することになった。

シロタはどこに隠れているのかわからないため、部隊の人間と僕とアヤメの二人は同行するようだった。

時間間近になり、部隊はそれぞれの位置に配置され、あとは依乃里さんの開始の声を松だけとなった。

僕らと依乃里さん烏間も含めた私設の部隊数人が港の入り口で待機していた。

僕はシロタがいる船を遠目からみる。

暗闇のなか、船の明かりがまぶしく感じる。

ふと依乃里さんが船の方を見ながら僕に問いかけた。

「作戦開始の時間になるけどいいかしら?」

依乃里さんは扇子をたたむ。

僕は彼女の方をむかず答えた。

「大丈夫です」

そういうと依乃里さんはすぐに腕時計に顔をおとした。

アヤメの方をみると彼女と視線が合う。

お互いに目と目を合わせ、頷いた。

僕は再度、船の方を見る。

それと同時に依乃里さんが腕時計から顔をあげて、言った。

「時間よ。 開始するわよ」

彼女がそう言うと先発の部隊が走り始め、船の方へと向かっていく。

それの後に僕らも着いていく。

船の近くまで行くと徐々に戦闘が始まる音が聞こえた。

銃声が響き、シロタが雇った傭兵達がうたれているのだろうか短い悲鳴みたいなのも混じっている気がした。

それを気にせず船と港をつなぐタラップへと急ぐ。

近づくにつれ、銃の火花が暗闇を一瞬だけ灯し、弾丸が空気を裂く音が聞こえ、さらに緊張感が増す。

「ポイントAは制圧完了。 そのままタラップで船に進入します」

隊長らしき人物が言うと依乃里さんは言った。「そのまま前進ね」

彼女の言葉で部隊と僕らが進む。

すでに船の周りのシロタが雇った部隊は制圧されたのか、あちらこちら人が倒れているのが視界に入る。

しかし、それを気にしては居られない。

僕はとりあえず足を動かすことに意識をむける。

船と港をつなぐタラップを駆け上がると船内は複雑な形をしていた。

「まずは上へ上がるわよ」

依乃里さんは指示をする。

先発の部隊が行く手を阻む傭兵達を次々と的確に倒していく。

僕とアヤメ、そして依乃里さん、部隊を含む全員で、甲板へと登っていく。

登り切ると、甲板はスペースがかなりあることに気が付く。

「作戦通り、船の船橋へ向かえばいいんですよね」

僕は船の一番上の方を見ながら問いかけると依乃里さんは答える。

「そう。 けれどどこに傭兵と改造人間がいるかわからないから注意して行くわよ」

そう彼女が口にした瞬間だった。

ギャアという部隊の一人が声を上げた。

そして気が付くと部隊の一人の頭に鉈が刺さり、絶命していた。

「まさか……」

そう思ったときにはドンという音と共に目の前に”ヴァイパー”が現れた。

「きたか」

依乃里さんがそういうと同時にアヤメはナノマシンの力を操り、手にしたナイフを変化させ、”ヴァイパー”へと駆け出していた。

夜を照らすように彼女の髪の毛がエメラルドにきらめく。

「私が相手だ!」

アヤメがそう言い、変化させたナイフを振り下ろす。

”ヴァイパー”は受け止めることはせずにそれをかわす。

そこにアヤメが蹴りを繰り出し、”ヴァイアパー”のみぞおちをとらえる。

蹴りを食らった”ヴァイパー”はそのまま後ろへと吹き飛ばされる。

「アヤメ!」

僕は彼女の名前を叫ぶ。

「私にかまわずに行け! すぐに追い付く」

「でも!」

「心配しなくても大丈夫だ。 私はミナトを信じる。だか私を信じてくれ!」

アヤメは”ヴァイパー”の方を向いたまま言った。.付箋文

「…………。 わかった!」

僕が返事をするとアヤメは口を開いて言った。「黒百合!」

「なんだ?」

「ミナトを頼んだ!」

「言われなくてもわかっているさ」

依乃里さんはそういうと僕に目くばせをし、急ぐようにジェスチャーをする。

僕もそれに頷き返し、駆け出した。

それと同時に、下の方で、発砲する音が、耳に入る。

連続して銃を撃っているのがわかり、足をとにかく動かし、階段を登ろうとした時だった。「キケェェェェェ」

頭上で叫び声が聞こえ、”バッド”が居ることに気が付く。

すぐに部隊の人は頭上から滑空してくる”バッド”にむけてライフルを連射し続ける。

「早く、こっちへ」

依乃里さんと烏間、護衛の隊長と共に階段登っていく。

足を動かしながら空を見ると”バッド”が旋回し、銃弾をかわしこちらを狙っているのがわかる。

それでも全員で階段を駆け上っていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る