邦子

「大丈夫?」

いきなりその金髪の女子高生に話かけられ驚いた。

「だ、大丈夫です」

「ならよかった。 じゃあ、心配いらないね」

金髪の女子高生はそう言うとコウモリ男の方を睨んだ。

コウモリ男は地面に墜落したが、すぐに起き上がり、また上空へ飛ぼうとしていた。

女子高生はすかさずショットガンをコウモリ男へむけて構えると躊躇することなく引き金を引いた。

またドンという音が響くと同時にコウモリ男は上空で被弾したのか地面の方へと落ちてくる。

しかし、すぐさま体勢を立て直すと上空へ羽ばたいた。

女子高生はショットガンを上空へむけるが、すでにコウモリ男は空高く舞い上がっていた。諦めたのか金髪女子高生はショットガンを構えるのを止めた。

「ちっ、バックパックまで狙えなかった」

なにか悔しそうに呟くとすぐにポケットからスマートフォンを出しかけ始めた。

「逃がした。 回収をお願い」

それだけ短く言うとスマートフォンをスカートのポケットに仕舞う。

そして僕の方をみると口を開いた。

「君、曳舟ミナトくんで間違いないよね?」.そう問われた瞬間、身体の中で警戒警報がなったように緊張が走る。

「そうですけど……」

すると金髪の女子高生がショットガンを構ええ僕にむける。

「えっ……?」

僕は思わず訳が分からず、変な声をだす。

金髪の女子高生はにこりと笑う。

「一緒に来てくれるかな?」

僕は両手を上げて抵抗の意思がないことを示す。

「ミナト!」

それと同時にアヤメがこの場に登場した。

「あちゃー、騎士様も来ちゃったかー」

金髪の女子高生は苦笑いを浮かべ、まいったよと言わんばかりの口調で言った。

「ミナトからは離れて貰おうか」

それに対し、アヤメはナノマシンを発動させ、髪の毛をエメラルド色に変える。

「ありゃりゃ。 一応言ってえ置くけど、改造人間と闘う気はないよ。  それにいいのかな? 君がミナト君を助けようとしたら逆に彼、死んじゃうよ?」

「どういうことだ?」

威嚇するようにアヤメが問いかけると女子高生は笑いながら答えた。

「半径二キロメートル先に腕のいい狙撃手を三人配置してる」

「それがどうした?」

「分かってないなー。 狙うの君じゃなくて彼、曳舟ミナト君だよ。 だから君が抵抗すれば彼の頭がスイカみたいにパンと弾けちゃうわけ。 おわかり?」

女子校生はニコリとショットガンを持った状態でアヤメに聞いた。

僕は目線でアヤメに言うとおりにしてくれと合図を出す。

アヤメは諦めるとナノマシンの力を止め、元の状態に戻る。

それをみた女子校生は満足そうにして口を開いた。

「よろしい。 ではいこうとしましょうか」彼女がそういうと頭上からバリバリと耳をつんざくような音がすると共に、ロープが上から振ってきて特殊部隊のような人たちが降りてきた。

そして特殊部隊のような人たちは僕と女子校生を背にして囲み、アヤメにライフルのような銃をむけ包囲する。

ショットガンをむけながヘリコプターの音に負けない声量で金髪の女子校生は言った。

「私は大宮・セイント・邦子。 クニちゃんって呼んでね」

そう彼女は満面の笑みで笑う。

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