girl

なんとかアヤメを父の書斎で寝て貰うことに成功し、僕は一人、自分の部屋でベッドで横になり色々と考えていた。

寝ようとするものの、色々とありすぎて神経が高ぶっているのか寝れずにいた。

何か飲もうとリビングへ向かい、水を飲む。

冷たい感触が喉を通り、少しだけ冷静になれる気がした。

僕はふと彼女に聞きたいことがあり、父の書斎だった部屋の前にたつ。

一応、アヤメが寝ているからレディの部屋にはうかつに入る訳にはいかないから僕はドアをノックする。

「…………」

何も反応がない。

もう一度、ノックをするがやはり応答がない。僕は意を決し、ドアを開ける。

カーテンは閉じられ、薄い街灯の光が差し込む。

部屋はやはり父が残した本で埋まっているが彼女が寝るためのスペースまでは確保したつもりではいる。

暗い部屋の中を夜目を使って彼女の位置を把握する。

部屋全体を暗い中見回す。

すると壁に設置された本棚に囲まれ、部屋の中心でアヤメは眠っていた。

まるで猫のように身体を丸め、スーと寝息を立てていた。

何か、聞こうと思っていたがその寝顔を見て忘れてしまった。

彼女の寝ている姿は完全に戦士と言うよりは一人の平凡な女の子。

安心しているのか気持ちよさそうに寝ている

。それを眼にしたらなんだか起こすのもそしてドアを勝手に開けたことに罪悪感を感じ、部屋を出ることにした。

自分の部屋に戻り、ベッドに横たわる。

きっと彼女は僕の想像できない世界で生きてきたのだろう。

かなり苛酷で残酷な状況を経てここにいる。本来なら彼女は養子としてこの家に来るはずだった。

けれど来た希望の先でも闘うことになっている。

それでも彼女は誠実に父との約束を守ろうとしてここに来た。そんな彼女を邪険に扱うことも此からはできない。

そう思った。

きっと父さんはどんな考えで彼女を寄越したのかは知らない。

けれどここで彼女が過ごす上で関わるのは僕自身だ。

どこかで彼女の事を詳しく知らなきゃいけない。ふと自身の唇に触れた。

というか”ヴァイパー”の毒で死にかけた

ときアヤメにキスされなかったか?

僕は記憶を呼び起こそうとして止めた。

なぜか。

悶々としそうで嫌になりそうだったけどどこか頭から離れそうにない。

女の子とキスしたのは初めてだったんだよな。僕はそう思い、瞼を強く閉じた。

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