第11話狂宴!鉄パイプ女通過!

[chapter:11]


「次の方どうぞ」と検閲所から大声が掛かる。どうやらデカ男の検閲が終わり、俺の番が来たらしい。

俺はグッと壁から背中を離して、壁を何気なくにココンコンとリズミカルに叩き、鼻歌を唄いながら検閲官のいるゲートの所まで足を運んだ。


「こちらにお進みください」

と、淡々と機械的に言いながら検閲官は「どうぞ」とジェスチャーをやった。

「まずは荷物を確認いたします。机の上に持ち物を出してください」

「どうぞ」のジェスチャーで開いたままの手でそのまま机を示す。俺はコロッと手に持っていた鉄パイプを静かに、冷たい机の上に置いた


「、、、はぁ~、アナタが鉄パイプ女という人ですか」

検閲官が少しだけ目を丸くして、珍しいものでも見たときのように続けて「ほえ~」と、先ほどまでの機械的な言い方とは真逆にアホっぽい声で小さくクンクン頷いた

「そうだけど、あんたは新人さんか?」


「へい、どうも。自分チェーン男と申しやす」

名を名乗り、ペコリと頭を下げる

「最近ここに配属されたんですがね。上司さんに机の上に鉄パイプだけ置く奴は通していいって言われたんですよ。アナタ、何か上司さんの弱みでも握ってるんで?」

「はは、どうだかねぇ。直接上司に聞いてみたらどうだい?」

からかうと「ご冗談を、そんなことしたら」と言うと親指を立て首の前でスライドさせた。中々に面白い奴だね


「もう、いいかい?人を待たせてるんだ」

「おっと、これは失礼。それではお通りください」

俺は机の鉄パイプを手に取って肩に担ぎ、出口の方まで歩いて行った。




「あれが鉄パイプ女ですかい」

「別に悪人ってわけではなさそうですがね」

「本当に消しちまうんですかい?」

「、、、かしこまりましたよ。何とかやってみますわ」

「それでは、、、ね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る