第10話狂宴!鉄パイプ女発見!
[chapter:10]
扉の前にエンピツ男はいなかった。まぁ多分もう検閲終わらせて先に行ったんだろ
「そこのデカい男、次」
検閲人が態度悪くそう言うとデカ男は「お先に」と検閲部屋の中へと入って行った。
「、、、ヒマ」
この待ち時間が嫌だから検閲所にはできるだけ来たくねぇんだがな
俺は通路に置いてあった硬いソファーに腰を下ろし、持ってた鉄パイプで肩をトントンする
座ったはいいもののやっぱりヒマだな。何か時間つぶしの良い方法、、、
考えていると遠くから談笑する職員たちの声が聞こえる
『うるせぇな、楽しそうにしやがってよぉ』
目をやるとそこには全身に宝石を付けたギラギラの男がいた
「! げ、マジか」
バレないように急いで顔を下に向けるも手遅れ。そのギラギラの男、ジュエリー男は俺に気付いたのかテクテクこちらに歩いてきた。
「失礼、アナタはもしや」
「、、、初めまして、どうぞよろしく」
一か八かの知らんぷり
「おや、人違いでしたかな?私の知り合いに顔がそっくりなものでねぇ」
気付いて乗っかって来たなコイツ、うぜぇ
「わかったわかった、なんだよジュエリー男。何か用か?」
「いえ、珍しい人がいたものでね。4番街に用事でもあるのですか?」
喋り方はデカ男そっくりだが、コイツの喋りは見た目も相まってうさんくせぇし、何か腹立つ
「散歩」
ぶっきらぼうに単語で返す
「あっはっは!何です、近頃は健康志向ですかな?」
駄目だ血圧上がって来た。今ここで処分するという選択肢もありだね
いや、、、
「ルームメイトに頼まれごとだよ」
「頼まれごと?貴方まだあのヤンキーに顔が上がらないのですか?」
ヘラヘラと笑うジュエリー男。あーあもう言ってやろ
「ガレキ女を回収しにな」
ピキッ さっきまでのヘラヘラ度合いがウソのように空気がひび割れる。
そりゃそうだ、ガレキ女回収ってのはつまりコイツと対立するってことだからな。
「意味わかって言ってますか?」
ジュエリー男は一切の感情がない冷たい顔で問いかける
「わかってるよ、お前を消すって意味」
どストレートに言葉を投げて俺の血圧が下がっていくのを感じる。気持ちええ
「、、、ふーーっ」
大きく息を吐いて目頭を押さえるジュエリー男
「お前は戦争の英雄だ」
敬語が消える。真面目な時にコイツはタメ口になる、普通は逆だろ。
「そんなお前が賞金稼ぎをやり始めたとき。俺は心底ビビった」
「いつかこんな日が来るんじゃないかと思ったからだ」
ジュエリー男は顔を上げ腕を強く組む
「金なら俺が用意する」
「金じゃねぇ」
「強い相手なら俺が紹介する」
「血が騒ぐワケじゃねぇ」
「目立ちてぇなら他にデカいヤマを知らせて」
「目立ちてぇワケじゃねぇ!!」
「今回はガレキ女だ」
「、、、そうか」
ジュエリー男はクルリ振り向くと重々しく無言でその場から立ち去って行った。
「、、、言うべきじゃ無かったかも」
静かな廊下で後悔は先には立たないことを思い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます