第9話狂宴!鉄パイプ女検閲!
[chapter:9]
3番街を走り抜け、4番街ゲートの前まで来たるは鉄パイプ女とデカ男
3番街から4番街へはこのそびえたつ馬鹿でかい扉を、チェックを受けて通らなければいけないが チェックとは名ばかりに袖の下に金を通せばどんな極悪人も通れる、通称ザルの扉である
「私は賞金首ではありませんので要りませんが、あなたは必要なのでは?」
デカ男は手の人差し指と親指を合わせマネーのジェスチャーをしながら言った
「いや、俺は大丈夫だ」
「?」
不思議がるデカ男に説明するのも面倒くさく、それなりの列が出来たザル扉の前に進んだ
ザル扉の前にはご立派な格好の職員達が2人組でおり、その間を通行人が通るというものであった。そしてこの際に一旦持ち物を全部出すのだが、金を払う奴はここで「財布の中も出しますね」と言って札を数枚出せばすんなりと通してくれるというさっきも言ったが典型的なやつであった
俺たちは出来上がった列の最後尾に並び、テキトーに進むのを待っていると。前から3番目くらいの奴がチラッとこっちを見て目を見開き、わざわざ列を抜けて走って来た。
「ちょいちゅい、やっぱり鉄パイプさんじゃないスかぁ!!」
身長がカフェのチビ女よりちょっと高い位の男が指差しながらデッケェ声で嬉しそうな声を上げる
「あぁ、お前か」
「お前て!ちゃんと名前覚えてますよね!?俺っすよ!エンピツ男っすよ!」
「、、、お知り合いで?」
隣のデカ男がチューブ男の時と同じような抑揚で聞いてくる
「昔、まぁちょっと助けたことが」
「いやいやいや、ご謙遜を!アレ鉄パイプさん居なかったら自分お亡くなりになってたっすよ」
エンピツ男は手のひらを合わせさすり合わせた
「あん時の鉄パイプさん、マジにカッケかったなぁ、、、」
「おい、もうやめてくれ。流石の俺もいい加減ハズイ」
こいつの褒めは本音な分、心に届いて聞くと顔が熱くなる
するとデカ男がひょいと耳元に口を持ってきて
「手伝って貰ったらいかがですかな?」
と言うと、わざとエンピツに聞こえるように言ったかどうかは知らないが
「え!?何がすか!?自分にできることなら何でも!」
声がデカいんだコイツは
「、、、まぁ人手は多い方がマシか」
エンピツに今回の概要を話すと、エンピツは腕組みをして悩み始めた
「んんん、そ~れは。んむむ」
まぁ、こうやって悩むのも当然ではある。コイツだけじゃないが今この列に並んでる奴らなんて皆、ジュエリー男とガレキ女の漁夫の利狙いに来た連中に決まってる。そしてそういう奴らは当然金に困って来てるわけだから、ここで俺らに協力してガレキを救うとなれば賞金も入らないし旨味も無い。正直言ってやる理由は
「わかったっす、手伝うっすよ」
周りに聞こえないよう、珍しく小声でそう言った
「おいおい、こっちが言っといてなんだが。マジか?」
「大マジっす、何でも言ってくだせぇ!」
真っ直ぐにそう答える
「、、、分かった。ありがとうな」
「うっす、あ!俺の番来たみたいなんで先行ってるっすよ!」
そう言うと財布を出し、扉の検閲前まで走っていった
「こう言っては何ですが、この町には珍しいタイプの人間ですな」
デカ男は顎に手を添えて薄ヒゲをいじる
「あぁ、そうだな。だから助けたんだ」
「、、、歳的に見て、ゴミ掃除の時ですかな?」
「大当たり、俺たちの番だ。ほら行くぞ」
俺は肩の鉄パイプを担ぎなおし、ザル扉の前まで足を進めた
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