第6話狂宴!鉄パイプ女信頼!

[chapter:6]


鉄パイプ女とトンカチ女が戦闘中のこと


『しゃんしゃんしゃーん』

入口の客が来たことを知らせるベルが鳴る

「はーい、いらっしゃい」

「あら?一人でお留守番?」

「おい!ガキ扱いは止めろって言っただろ!」

「そういうところがまた子供っぽいのよね」

ヤンキー女はそういうと椅子を引き、さっきまで鉄パイプがいた席に座った


「ご注文は?」

「そうね、アイスコーヒーでも頼もうかしら」

カウンター席に頬杖をつき、立ててあるメニューをぼんやり見ながらそう言うと

「ねぇ、ガトリングガン。用意できる?」

と目だけをメニューからこっちに逸らして言った

「、、、とてもカフェで出てくる単語とは思えねぇな」

うちは表向きはカフェでやってるが親が武器商人なもんで、こうやって武器が欲しい奴が時折やって来る

「直接6番街に買いに行けばいいじゃないか」


6番街、ダイナマイト町は反社会勢力と武器の町だ。あらゆる勢力が絶妙な均衡で保たれており、ちょっとでも崩れることがあれば、今抑えられている色んなモノが弾けることからその名がついた(らしいが多分ガセ)


「嫌よ、あそこ隙あらばカモにされたり不良品売ってたりするんだもの」

確かに、あそこは素人が入れば一瞬でスカンピンにされちまう。その点うちは安心安全をウリに武器を卸しているから『値が張る分、質が良い』という評価を貰っていて金に余裕がある奴が来たりするんだが、、、


「お前のところ、まぁまぁ金回りきついいんじゃなかったか?鉄パイプが言ってたぞ」

「そうね、だからツケといて」

「ツケだぁ、、、?」

皿を拭いていた手を止めて、ヤンキー女と目を合わせる


「お前、私がそれを許せるほど人が良い様に見えるか?」

「見えるわ。だからどうにかして」

店内に沈黙が流れ、うっすらかかった安い店内BGMだけが流れる。それに耐えかねたのは大きく息を吐き

「ごめん、人が良く見えるってのはウソ」と言った


「だけど、話せばわかる子とは思うわ」

「おい‘子‘ってなんだ、‘子‘って」

「、、、鉄パイプが、あなたのお兄さん借りていったんでしょ?」

「あぁ、お前の幼馴染って奴を助けるためにな」

話しながら再び皿を拭き始める


「私の幼馴染助けに行ってくれてるのに、私が何もしない訳にはいかないでしょ」

ほぉ、こいつにもそういう考えがあったのか

「だからってガトリングガンをツケは無理だねぇ」

全部の皿を拭き終えて、食器棚に戻しに行く


「鉄パイプが私の幼馴染を助けようとしているなら、まず間違いなくジュエリー男と戦闘になるわ」

「ジュエリー男、、、」

「お願い、そのジュエリー男の賞金でちゃんと払うから」

「1.3倍」

棚に皿を戻しながら言い放つ

「それ以上はマケられないね」

「1.2倍!」

ヤンキー女が祈り手を頭の上にもってきて硬く固める

「おいおい、ツケで済ましてやろうってのに値切ろうってか」

「、、、わかったわよ、食えない子供だこと」

「だからガキ扱いは!、、、言っとくがあれだぞ!」


食器を戻し終え、カウンターの背伸び台にドンと乗る

「ツケを許してやったのはお前を信用してるからじゃなくて、鉄パイプの強さを信頼してるからだぞ!」

ヤンキーを指さし大き目の声で言ってやる

「アイツなら、ジュエリー男を倒せるって?」

「まぁ、そういうことだ」

「ふふ、そうね。私もアイツの強さだけなら信頼してるわ」


アイスコーヒーの最後の一口を飲み干す

「ねぇ、鉄パイプさ。ジュエリー男に何分かけると思う?」

「、、、」


窓から見える流れ曇天を見ながら

「お前の援護込みで5分くらい?」

と言った。

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