第5話狂宴!鉄パイプ女戦闘!

[chapter:5]


降ってくるトンカチを鉄パイプでシノぎ続ける鉄パイプ女、一見すればトンカチが有利に見える

しかし、


『まずい、トンカチの残弾がそろそろ、、この後チューブ男も控えてるのに』

『一発は重いが速度はそうでもねぇ、余裕』


実のところ状況は逆なのであった

そんな様子を眺める男が二人


「よくあんなにシノげますねぇ」

「あぁ、流石は鉄パイプです」

「、、、あなたも手伝ってはどうですかな?」

「いや、まだ今じゃない、です」


『クッ、このままじゃジリ貧か、仕方ない』

「!」


突如としてトンカチ、投げるのを止め高く跳び上がり屋根上に昇る

「なるほどね」

俺も後を追い屋根上に昇った


「よっこいしょ、、」

ブンッ!と昇り直後にトンカチが振り切られる

「アブねぇな、避けなきゃ当たってたぞ」

「そりぁあね」

続けざまにブンブンと音を鳴らし、トンカチの通った後には重っ黒い残像が映る

「当たると痛そう、けどな」


お留守の脛に鉄パイプを強く当てる

「痛ッ!」

「だろ?油断してると痛てぇのよ」

「グ、クッソッ!」

トンカチをアッパー気味に振り上げてくる、顔から察するにまぁまぁカチンときたみたいだ


「そう怒るなって、新米さん」

「ハッ!脛に当てたくらいで、いい気になるなよ」

振り上げてきたトンカチを次は思い切り振り下ろす、だが


「本命はこっちかな?」

降り下ろしてきた手と逆の手に握られたトンカチが、俺の顎めがけて軌道を描いていた。

俺はそっと避け、降り下ろされた方の腕を鉄パイプで叩き折った

「ッ!殺す!」

「、、、アンタ、この国の外から来ただろ?」

「!」


「この国の人間はな、殺すなんて言葉は使わねぇんだ。新参者見分けるために、町の奴らが決めたルールとしてな」

「、、、」

「どんな夢抱いてこの国に来たかは知らねぇが、止めときな。今なら見逃してやる、黙ってこの場から立ち去れ」

「、、そうね」

トンカチはクルッと振り向いて

「ありがとう、あなたのおかげで自分の未熟さがわかったわ」

と言い去っていこうとした


その背中めがけて持ってた予備の尖った鉄パイプを思い切り投げた

ガンッ、投げた鉄パイプが『く』の字に曲がってガランと地面に転がった

「見逃してくれるんじゃなかったの?」

「今死んでたら、見逃してたさ」

「それを見逃すとは言わないのよ」


このトンカチ女はたった今、この国の住人になった。

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