第4話狂宴!鉄パイプ女面倒!
[chapter:4]
ボッロボロのトタン板を、ガンガンふみ跳んでいく巨影と相対的に小さく見える影
「決闘がある4番街はいったん3番街を経由せねばなりませんよ」
「わかってるよ、あーめんどくせぇ」
目的地の4番街は本来、俺たちの住む5番街から直で行けるはずだが、架け橋の崩落でいったん3番を通らないと行けなくなっていた。
「マジに早く直してほしい」
「ほっほ、まぁたまには歩きも悪くないでしょう」
「こんな空気悪いとこで運動したら逆に悪影響だろ」
今回ガレキ女って奴を救うために立てた作戦はシンプル。俺がジュエリー男を引き付けている間にデカ男がヤンキー女の名前を書いたプラカードを持ってガレキを引き付け、話してついてきてもらえばハッピーエンドだ。
おまけでジュエリーを始末できれば賞金も手に入る(場合によっちゃこっち優先)
「そろそろ3番街に着きますよ」
デカ男が帽子をかぶりなおして言う
「あぁ、やっとかクソが」
結構な道のりに悪態をつくと、俺は豪快にトタンを踏みつけ、街と街の間にあるドブ川を思い切りジャンプした
トンッと軽やかに着地すると、後に続いてドンと重いデカ男の着地音がする
「おいおい、もうちょっと地面に気ぃ使えねぇのか」
「申し訳ありません、体のコントロール苦手で」
デカい体を屈めてズボンの砂ぼこりをはらう
「んまぁ良い、少し休憩したら一気によ」
んばんがいまで、と口を動かそうとしたときズオンッ!と大きな地響きが聞こえる
「おー、お祭りごとですかな?」
「あー、、まぁお祭りごとには違いねぇ」
言い終えた直後、前方から人影がぶっ飛んできて目の前の自販機に轟音でぶつかる
「ぐへぁ!痛ってぇですね畜生」
「お、チューブじゃないか、頑張ってるな」
自販機にノメりこんだ男に声をかける
「!、鉄パイプか!何してんだこんなところで、です」
「お知り合い?」
デカ男が不思議そうに顔を覗いてくる、ビビるからやめてほしい
「フィッシャーマンが言ってたチューブ男って奴、過激派の反出生主義団体の幹部」
「あぁ、家具屋さんと戦うというあの!」
ナルホドっと納得したようにポンと手叩く
「そうだ、あのゴミカストンカチ女、、、ゲッ!」
チューブ男がぶっ飛んできたのと同じ方角から大量のトンカチがこっちめがけて降ってくる
「おおっと、部外者にも容赦なしですかな」
「まぁ、当たった奴が悪いって考えだろ。ちょっと伏せてろ」
背中に掛けていた鉄パイプをズリズリ引き抜き、降ってきたトンカチめがけ一つ一つ叩いて落とす
「顔上げていいぞ」
丸まってたデカ男がチョイッと顔を上げる
「お見事、流石ですなぁ」
「いやぁ、全くホントに、です」
「あぁ!?テメェ!」
助けた覚えのない声がデカ男の下から聞こえ、思わず驚きと怒りの声が出る
「少し雨宿りさせてもらったですよ」
「ほっほ、私は傘扱いですか」
「おいおい、笑ってる場合か?こりぁあ面倒なことになるぞ」
「そうね、本当に面倒ね」
上からの声に反応し見上げるとトンカチの釘外し部分と上手いこと引っ掛け、壁にくっついてる女がいた
「あなた達は団体の人?」
首をコテンと横に倒し問いかけてくる。カワイイ仕草だ
「いや、俺たちは何も関係ない。コイツが勝手に助かりやがっただけだ」
「いや、俺たちは仲間だです。 コイツが必死に助けてくれたです」
おっけ、わかった。コイツ後でシバく
「、、、両者の言い分は分かったわ」
「じゃあ見逃してくれんのかい?」
「えぇ、もちろんよ」
ニコッと微笑み「もう行きなさい」とジェスチャーをする
「俺は?です」
「アンタはダメ。殺す」
当たり前だろ、ざまぁみろ
「それじゃあ、失礼しまーす」
振り返った瞬間に後頭部めがけて飛んできたトンカチを速攻で落とす
「見逃してくれるんじゃなかったのかい?」
「今死んでたら、見逃すつもりだったわ」
「それを、見逃すとは言わないんだよなぁ」
私は鉄パイプを肩にかけ上のトンカチ女めがけて睨みを飛ばした。
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