第46話「起源隷獣」(デュエルパート1)
フィールドには既に5体の起源神が揃っている。あれをどうにかしなければ。
コイントスは俺たちに当たった。
「悪いなアンセル。制圧させてもらう!」
「ふ。出来るものなら」
アンセルは不敵に笑う。負け惜しみか?
「先攻は私にして」
啖呵を切ったのはカルトだった。
「私のデッキはハンデスと除去によるコントロール。優位は取りやすいわ」
「カルト」
カルトは俺を敗北寸前まで追い詰めたデュエリスト。お前ほどの実力者が言うなら。
静かに頷く。
「アンセル。あんたの手札を空にしてやるわ!」
【カルトの先攻】
「私のターン!」
カルトは手札を握り締め、アンセルを睨む。
「私は永続魔法『古びたおもちゃ箱』を発動! その効果でデッキから人形モンスターを2体召喚する!」
来た。「霊障人形 アナベル」を出せばダブルハンデス。
「『霊障人形 アマンダ』ちゃん、守備表示で召喚!」
フィールドに不気味なアンティーク人形が現れる。
0/2000。
「アマンダちゃんの効果発動! この子が効果によって召喚された時、フィールドのカードを1枚破壊する!」
やるな。起源神の揃っている今、ハンデスばかりに集中している暇はない。真っ先に起源神を飛ばすのは良手だ。
しかも2枚。
「私は『火源神』と『地源神』を破壊! 人の心を弄んだ罪、思い知りなさい!」
アマンダのすすり泣きが音波となり、起源神2体に襲い掛かる。
しかしアンセルは自らの手札を捨てる。
「手札の『起源隷獣 バルドゥス』の効果発動。これを捨てることで、私のターンの初めまで種族『起源神』モンスターは破壊されません」
くっ。そう簡単にはやらせてくれないか。さらにおもちゃ箱の効果によってこのターン、カルトは召喚が封じられている。
「ま、ここまでは予想通りね。私はカードを3枚伏せる」
カルトの場にはアマンダ2体、伏せが3枚、空きの手札が1枚か。
「私はこれでターンエンドよ」
【ユーゴのターン】
「僕のターン!」
うまく繋げてくれユーゴ。このデュエルは絶対に負けられない。
「僕は『屍界のスプリガン』を召喚! その時の効果で、自分の山札から2枚を墓地に送り、その中に屍界カードがあれば、相手のモンスターと自身をゲームから取り除く!」
0/0。
落とした中には屍界カードがあった。いい流れだ。
「『屍界のグリマルキン』が墓地に落ちたため効果は成功! 今度こそ消えてもらいます、火源神!」
やったれー!
「『起源隷獣 サモテス』の効果発動。自身ともう1枚の起源モンスターを捨てることで相手モンスターを1体破壊します」
効果が通り、スプリガンの体がら炎が湧き上がる。取り除きならずか。だがこの程度で終わるユーゴじゃない。
「『屍界の魔女』を召喚! その時の効果を発動、デッキから屍界カードを墓地の送る!」
1300/300。
魔女は杖を振った。効果が通った合図!
「墓地に送った『屍界の扉』を発動! 山札から3枚墓地に送り、その中に屍界モンスターが2体以上いればアシストモンスターに記された条件のモンスターを取り除くことでそれを召喚する!」
来た。生成で新たに作られた強力なカードの1つ!
「……ほう?」
山札が3枚削れる。そこには屍界が2体!
「僕は墓地からスプリガン、魔女、そして今墓地に落ちた『屍界の吸血鬼』を取り除く!」
ユーゴはアシストゾーンのモンスターを眺めながら考えたが、すぐに答えを出した。
「サモテスの効果によって起源神は破壊されない、か。なら『屍界のスペクター』を召喚!」
赤い目を持ち、ゆったり布を被ったモンスターが現れた。これも生成で作られたカード。
1000/2500。
「2枚伏せ、ターンエンド!」
手札2、伏せ2。ついでにスペクターで蓋だ。いい調子。
「ショーブ、あとは!」
「ああ! 行くZE――」
【夢藤のターン】
「俺のターン!」
2人のおかげで伏せが5枚という強力なバックの下、俺はターンを進めることが出来る。
しかし先攻はバトルが出来ない。
(先攻制圧に努める!)
俺もそれなりにいい感じの手札だ。
「行くZE! 単発魔法『サイバー・ドレイク』を発動! これをモンスターとして召喚する!」
アンセルの反応はなし。無事着地だ。
「このカードが出た時、手札のドレイクカードを捨てる。そうすることでそれとは名前の異なるドレイクまたは双竜カード2枚を手札に加える!」
俺は『双竜の火炎』を捨てた。
「『起源隷獣 マグヌス』の効果発動。墓地に同名以外の起源モンスターがいる場合、自身を捨てることでカードを1つ破壊します。飛ばすのは当然サイバードレイク」
な……!
しかしカルトが反応した。
「伏せの単発魔法『グランギニョール』! 私の場にある『人形』モンスターを手札に戻すことで、その発動を打ち消す!」
「ありがたいZE!」
「困った時には言って。出来る限り協力するわ」
「ああ!」
カルトの手札にアマンダちゃんが。これでサイバーの効果が通る!
「俺はデッキから『ライト・ドレイク』と『レフト・ドレイク』を手札に!」
来たZE。俺をすっと支えてくれたモンスターたち!
さらに行くZE。
「俺は『双竜錬成・改』を発動! アシストゾーンに記された条件のカードを手札またはフィールドから墓地に送り、それを召喚する!」
ライト、レフト、サイバーが墓地に送られる。
「召喚条件はモンスターのドレイク1体以上と魔法のドレイク1体以上! 来い、『イリュージョン・ドレイク』!」
3体の意匠が刻まれた巨大なドレイクが現れた。生成したモンスターだ!
3000/0。
「イリュージョンの効果発動! 出た時、墓地にあるドレイクモンスター1体につき1枚ドロー! 俺の墓地にはライトとレフトがいるため2枚ドローだ!」
「『起源隷獣 ドルイス』の効果発動。自身を捨てることで発動したその効果を打ち消します」
くっ……。だがまだ行ける。
「『物欲の壺』発動! 2枚ドローする!」
最初のスキルで引き込んだ最強カード!
「さあ行くZE、2枚ドロー!」
これで手札は2枚。
「2枚伏せ、ターンエンド!」
カルト、場にアマンダ。伏せが2枚。手札2枚。うち1枚がアマンダ。
ユーゴ、場にスペクター。伏せ、手札共に2枚。
そして俺は場にイリュージョン、手札は0だが伏せが2枚。
対して奴の場には起源神が5体いるが、手札はわずかに1枚。
制圧盤面としては対応しやすい。なんとか持ち堪える!
*
【今日の最強カード】
イリュージョン・ドレイク
種族:ライトニング・ドラゴン
生息地:光の国
攻撃力:3000
守備力:1000
アシストモンスター
①このモンスターは「ドレイク」モンスター+魔法「ドレイク」モンスターを墓地に送り、アシストモンスターを召喚できる効果によってのみ召喚出来る。
②このモンスターが召喚された時、墓地に存在する「ドレイク」モンスターの数だけドローしてもよい。
フレーバーテキスト
七色の死をお前に与える。
【作者より】
本当にお久しぶりです。体調不良とかブレまくるモチベのあれこれですっかり更新が滞っていました。申し訳ありません。なんとか公開できました。
1対3のデュエルなのでめちゃプレミとか気を付けてますが、それでもガバるかもしれませんので温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
不定期にはなりますがこれからもよろしくお願いします!
いいね、コメントなどくださるととても励みになります。星での評価、レビュー、作者や作品のフォローなども入れてくださると泣いて喜びます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます