最終章「転生決闘(ウルトラ・デュエル)」

第40話「蒸気と電気」(デュエルパート1)

【バルムンクの先攻】


「行くぜ。永続魔法『スチームバンク』発動!」


 フィールドにからくり仕掛けの塔が現れる。


「相変わらずそのデッキか」


「そう残念がるなよ。それより俺は手札から『蒸気兵 ヘロンズ・ユニコーン』を召喚するぜ」


 1500/0。


「ユニコーンの効果発動! 場に出た時、スチームバンクが俺の場にあればデッキからもう1体の蒸機兵を召喚する。現れろ!『蒸気兵 レシプロ・ガーゴイル』!」


 背中にプロペラ状の羽をつけたガーゴイルが現れた。

 1500/0。


「ガーゴイルの効果発動! 場に出た時、スチームバンクが俺の場にあれば相手の手札を見ないで1枚捨てるぜ。捨てるのは右端だ」


「……いいだろう」


 捨てられたのは『床掃除』だった。

 おお危ない危ない。スチームバンクを消されるとこだったぜ。


「さあエンジンかけるぜ。俺の場の蒸気兵2体を重ねて、その上にこいつを召喚!」


 大抵のアシストモンスターは出すために専用カードがいるが、蒸気デッキにそんなものはねえのさ。


「熱波を上げろ! 『蒸気兵長 タービン・ドラゴン』!」


 場にからくり仕掛けのドラゴンが現れる。

 消えたユニコーンとガーゴイルは蒸気としてドラゴンに装填。動力源となる。

 2500/0だ。


「ドラゴンの効果発動! 俺のターンに1度、重ねた蒸気兵モンスターの合計攻撃力分のダメージを相手に与える! 食らえ3000バーン!」


 バーン。それは効果によってダメージを与える行為を示す。

 アドバンテージ? 知らねえな。デュエルはライフを0にしたら勝てるんだよ。これで山ほどの相手をワンキルしてきたのさ。


(ダメージは勝利に直結する指標! これを極めてこその男だぜ!)


 ドラゴンの吐いた炎がデュランダルに襲い掛かる。


「くっ……」


 4000→1000。いきなりゲームが終わりそうだな。


「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド」






最終章

転生決闘ウルトラ・デュエル







【デュランダルのターン】


「私のターン。私は手札から『遺電子 ストーム・ファルコン』を召喚」


 1500/1000。

 見たことのないモンスターが現れた。


「遺電子? デッキを変えたのか」


「違うな。強化したのさ。それよりもその時の効果を発動するぞ。私は2枚ドローし、遺電子カードを1枚を捨てる。この時遺電子カードを捨てなければ私は手札を全て捨てるが、問題なし」


 捨てたのは「遺電子 パルス・ドッグ」。カテゴリのカードだ。


「続けて『遺電子 コード・ライオ』を召喚」


 1500/1000。


「この時、ライオの永続効果を適用。私の場にもう1体遺電子モンスターがいれば私の遺電子モンスター全ての攻撃力は500上がる」


 これでファルコン、ライオのステータスは2000/1000か。


「まだだ。遺電子モンスターは他の遺電子モンスターにその能力を与える。まずはライオの永続効果を得たファルコンにより、遺電子モンスターの攻撃力がさらに500上がる」


 ファルコン→2500/1000。

 ライオ→2500/1000。


「なんだと……」


「さらにファルコンの効果を得たライオの効果により、2枚ドローして1枚捨てる。捨てるのは『遺電子 ルーター・ラクーン』」


 まずいぞあのデッキ。


「良きカードを引いたぞ。最後の召喚権を使い『遺電子 ワイヤード・キャット』を召喚」


 1500/1000から効果により3000/1000。


「この時キャットの効果発動。出た時、別名遺電子モンスターを手札に加える。渡されたファルコンの効果はその後使う」


 1体1体は大したスペックじゃないが、群れると脅威だ。サーチ(特定のカードをデッキから引き込む行為)とファルコンによるドローが重なっている。


(だが、ここまで押さえていた価値あり!)


「単発魔法『蒸気機関波』! 俺の墓地の蒸機兵を好きな数デッキに戻し、その数だけ相手のカードを破壊だ。俺はファルコンとキャットを破壊!」


 ユニコーンとガーゴイル型の蒸気が2体を襲う。

 果たして2体は破壊され、場に熱気が舞い上がる。

 対象が消えたことでサーチもドローも消える。さらに。


「ライオの永続効果も消えた。攻撃力アップは他に遺電子がいないと適用されないから、今のステータスは1500/1000だな?」


「チッ」


 さらに召喚権も全て使った。出来ることは少ないはず。


「とはいえ焦るようなことでもない。遺電子デッキはどっしりと腰を据えて戦う。私は3枚伏せ、ターンエンド」


 伏せは3枚。手札が1か。ターンを返すとまずいな。次で決めるか。






【バルムンクのターン】


「俺のターン、ドロー!」


 いいのを引いたがとりあえず。


「タービンドラゴンの効果発動。3000ダメージ!」


 ドラゴンが炎を吐こうとするが、デュランダルがそれを食い止める。


「単発魔法『特殊清掃』発動。アシストモンスターの効果が発動された時、それを手札に戻して1000ダメージだ」


「来ると思ってたぜ。伏せた永続魔法『炎熱蒸気』! 蒸気モンスターを選ぶ効果を互いのターンに1度打ち消す!」


「ならば単発魔法『大規模な掃除』発動だ。こいつは伏せた次のターンからしか使えないが、相手の魔法を全て破壊する」


「やるな……!」


 効果が通り、建物が次々崩れる。がしかし。


「ほっ! ほっほー! わっはー!」


 俺は瓦礫をなんとかかわす。うん、まだ動ける。まだまだ現役だぜ。


「大道芸も見せたついでにユニコーンの永続効果も適用だ。素材になっていれば俺の伏せは1度だけ破壊されないぜ」


「なら特殊清掃の処理だ。ドラゴンは消えてもらおうか」


 ドラゴンが泡に囲まれ、アシストゾーンに戻る。素材はルールとして墓地送りだ。

 ダメージも入り、4000→3000に。


「ぐっ……」


 遺電子モンスターは爆発的なアドバンテージを確保するデッキはない。なのでその間の力不足は汎用カードで補うわけだ。


「だが諦めるかよ。俺は手札から『蒸気兵 ディーゼル・エンジェル』召喚!」


 0/0。


「場に出た時、ライフを半分払うことで墓地のスチームバンクを発動!」


 4000→2000。


「あくまでそのカードにこだわるか」


「俺の一番の発明だからな。何度倒れようが蘇る。さあ立ち上がれスチームバンク!」


 瓦解した塔が再び組み上がる。


「エンジェルの効果発動! 自身の効果でスチームバンクを発動した場合、デッキから別名スチームバンク2体を同時に召喚!」


 同時なら召喚権は1回のみの行使で済む。そしてそこまで通れば……!


「癪な」


「おっしゃ! 出てこい『蒸気兵 シリンダ・スキュラ』に『蒸気兵 ボイラー・フェアリー』!」


 場が熱気に包まれる。

 思い出すなあ。蒸気機関が認められた時のこと。それで街を発展させた時のことを。


「蒸気兵モンスターが3体。来るか」


「そうさ! 俺は場のエンジェル、スキュラ、フェアリーの上に、こいつを召喚!」


 選んだ3体が蒸気となり、現れた黒い影の動力源となる。


「初お披露目だ。出てこい!『蒸気こうしょう スチームバンク・リヴァイアサン』!」


 フィールドに機械仕掛けの鯨が現れた。蒸気の海に乗り、雄大にフィールドを泳ぐ。

 3000/0。


「リヴァイアサンの効果発動! 俺のターンに1度、素材を1つ選びその攻撃力分のダメージを与える!」


 リヴァイアサンが熱気を上げる。


「まずはスキュラを選び、その打点1300ダメージを食らえ!」


 リヴァイアサンの下にある蒸気がスキュラを形取り、デュランダルに襲いかかる。


「甘いな」


「なんだと?」


「墓地にあるルーターラクーンの効果を適用。こいつをゲームから取り除くことでこのターン、私へのダメージを0にする」


「何――」


 蒸気は突如飛んできた電気によって打ち消される。

 1度だけならまだしも、ターン中全てのダメージをなくすとは。


「ならバトルだ。リヴァイアサンでライオに攻撃!」


「単発魔法『遺電磁波』! 遺電子モンスターが攻撃される時、相手のモンスターを全て破壊する!」


 リセットか。通してなるものか。


「リヴァイアサンの効果発動! 自身の素材を取り除くことでそれを打ち消す!」


 エンジェルを取り除いた。


「墓地のパルスドッグの効果発動! 遺電子カードの効果が打ち消される時、自身を墓地から召喚!」


 雷が犬を形取り、場に現れる。


「パルスドッグの永続効果が適用される。ドッグがあれば私の場の遺電子カードの効果は打ち消されない」


「何!」


「ライオの効果も適用だ」


 1500/1000→2000/1000!


 いや、それよりもまずい。リヴァイアサンより先に――。


「遺電磁波の効果を処理だ。消えろリヴァイアサン!」


 リヴァイアサンはアシストゾーンに戻る。ただし素材カードは墓地に行く。


(やるじゃねえか……)


 仕方ねえ。次のターンに賭けるとするか。


(俺の伏せは2枚か……)


「俺はこのままターンエンド!」






【今日の最強カード】


【遺電子 ワイヤード・キャット】


生息地:光の国

種族:アンドロイド


攻撃力:1500

守備力:1000


効果

①このモンスターが召喚された時に発動してもよい。自分フィールドに他の「遺電子」モンスターがいればデッキから別名「遺電子」モンスターを手札に加える。


②このモンスターがフィールドに存在する限り適用。自分フィールドの「遺電子」モンスターに①の効果を与える。ただしこうして付与された効果は他の「遺電子」モンスターには与えられない。


フレーバーテキスト

 生きているのかそうでないのか。そんなことエンドユーザーにとってはどうでもいいものさ。この愛らしささえあれば、ね。

 ……あ、これ受け売りな。

――とある技師





【蒸気工廠 スチームバンク・リヴァイアサン】


生息地:火の国

種族:アーマード・ウォリアー


アシストモンスター


効果

①自分フィールドに存在する「蒸気」モンスター3体の上に重ねることでのみこのモンスターは召喚出来る。


②自分のターンに1度発動してもよい。このモンスターの下にある「蒸気」モンスターを選び、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。


③1ターンに1度発動してもよい。このモンスターの下にある「蒸気」モンスターを墓地に送ることで、相手の発動した効果を打ち消す。



フレーバーテキスト

世界の平和を守るため、勇気と蒸気がドッキング!






【作者より】

 読んでくださりありがとうございます!

 ついに最終章です。みんなの活躍、ぜひともご覧ください……!


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 次回は明日12:00〜13:00頃に投稿予定です。よろしくお願いします!

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