第7話「ハンデッドコンボ」(デュエルパート1)

「行くZEキース。コイントス!」


 コイントスは表。俺の勝ちだった。


「先攻はもらった。俺のターン!」







【夢藤の先攻】


 俺はカードを見ながら考える。


手札破壊ハンド・デストラクション。通称ハンデス。相手の手札を捨てさせ、展開を未然に防ぐ戦術……)


 だが、その手のデッキに先攻は有利!


「俺は『ライト・ドレイク』を召喚!」


「なんだそのカードは」


 またそれか! 一般的なカードなんて言うと色々面倒だ。


「ちょっと珍しいモンスターだZE」


 こう言っておくZE!


「ほう。まあいい。決闘魔法は認めている。続けろ」


 流してもらえたZE!


「さらに俺は手札を全て伏せてターンエンド!」


 先攻はこうして手札を積極的に使える。先攻を取ること自体がハンデスへの解答になる。

 何より俺のデッキはドレイクたちを魔法で支援するデッキ。手札は簡単に使い切れる!


「これでお前の得意なハンデスは出来なくなった。俺はこれでターンエンド!」






【キースのターン】


「俺のターン、ドロー」


 キースは静かにカードを引く。その時だった。


「……くく」


 キースは顔を押さえ、堪えたような笑いをし始めた。


「こうもうまくハマってくれるとはな。くくく」


「な、何がおかしい。俺の手札はもう0よ!」


「おいおい、勘違いするなよ」


 キースは手を顔から離して冷たく言い放つ。






「誰がお前の手札を破壊すると言った?」






「ゑ?」


「あの事務員を買収した。試験開始前、俺がハンデス使いであることを強調しておけ、とな。お前はそれに引っかかったわけだ。間抜けもいいところ……」


「お、お前」


「後悔しても遅い! 俺は『羽根男』を召喚。その時の効果発動。俺の手札を全て捨て、その数だけ相手のカードを好きな数破壊だ」


「くっ。俺は『双竜の呼応』を発動! デッキから『レフト・ドレイク』を召喚し――」


 まだ使えるカードがある!


「さらに『双竜の防壁』を発動! このターン俺のドレイクモンスターは破壊されない!」


「さっきから見たことのないカードばかり……。だが破壊は受けてもらう!」


 羽根男により、ドレイクたち以外は全て破壊される。


(残り2枚は『床掃除』。いきなり手痛いZE……)


 しかしそれは手札0のキースも同じはず。

 と思っていたが、キースの墓地が光っている。


「墓地から使えるカード!」


「その通りだ。俺は墓地の『蘇生男』の効果発動。こいつが捨てられた時、俺の場に男モンスターがいれば墓地から復活だ」


「頭数を増やしてきたか!」


「それだけじゃない。『補給男』の効果。こいつが捨てられた時、俺の場に男モンスターが2枚以上いれば2枚ドロー出来る」


 2枚ドローだと。名前通りの効果だ。


「さらに墓地の『支援男』の効果。こいつが捨てられた時、俺の男モンスター全ての攻撃力が1000上がる。――準備は終わった。バトルだ」


 羽根男がライトに攻撃した。

 ライトの攻撃力2000に対して羽根男の攻撃力は2800。(元の攻撃力は1800)


「防壁の効果でライトは破壊されない!」


「だがヘドロは受けてもらう!」


 羽根男の全身にまとわりついたヘドロ――つまり800ダメージが俺を襲う。

 4000→3200!

 実体はないが気持ち悪い……。


「な、なんてデッキだ。これがハンデッドコンボ」


「捨てたカードは何1つ無駄にはしない。それが俺の戦い方だ」


 そのままキースはカードを2枚を伏せ、ターンエンドした。






【夢藤のターン】


 最悪の展開だ。ライトとレフトが残ったとはいえ手札も伏せも0。

 今引きで何とかするしかない。


「俺のターン、ドロー!」


 カードを見る。


(こいつならチャンスを作れる!)


「俺は魔法『双竜の錬成』を発動! 俺の場に存在するドレイク2体を墓地に送り、アシストゾーンから指定のモンスターを1体召喚する!」


 ライトとレフトの間に現れた赤い渦が2体を飲み込む。


「現れろ!『マーシャル・ドレイク』!」


 渦の中からライトとレフトの意匠が刻まれたドレイクが現れた。


「マーシャルの効果発動。俺の墓地にライトとレフトがいれば2枚ドロー!」


 この2枚にかかっている。


「ドロー!」


 俺は静かに手札を見る。

 このカードは!


「俺は『物欲の壺』を発動! その効果で2枚ドロー!」


 引いた手札をさらに見る。

 これなら行ける!


「『双竜の覚醒』を発動! 俺の場のドレイクモンスターの攻撃力が2倍になるZE!」


「男軍団を蹴散らし、大量のダメージを狙いねえ」


「さあ行くZE! 俺はカードを2枚伏せてバトル! マーシャルで羽根男を攻撃!」


「甘い! 墓地から魔法『マン・オブ・ステール』発動。このカードをゲームから取り除き、俺の男モンスターはこのターン破壊されない。さらにダメージも受けない!」


「仕留め損なったか。だが攻撃は続くZE!」


 マーシャルと羽根男がぶつかる。

 羽根男は煙に飲まれたが無傷だった。

 これが試験官の強さか。


「俺はこれでターンエンド!」






【今日の最強カード】


【羽根男】


生息地:緑の国

種族:ヘドリスト


攻撃力:1800

守備力:1000


効果

①このカードを召喚した時、自分の手札を全て捨てる。その後、こうして捨てたカードの数だけ相手のカードを好きな数破壊してもよい。


フレーバーテキスト

みんな忘れて楽になろうぜぇ〜。






【補給男】


生息地:緑の国

種族:ヘドリスト


攻撃力:0

守備力:0


効果

①このカードが捨てられた時、自分フィールドに男モンスターが2枚以上存在していれば2枚ドローする。この効果はデュエル中に1度しか使えない。


フレーバーテキスト

みんな忘れてほくほくしようぜぇ〜。






【作者より】

 ここまで読んでくださりありがとうございます。

 試験官の人、トムに負けそうデース。


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