第6話「決闘魔法でももらおうか」

「ギルドに来ましたよ」


 ユーゴが目の前の建物を指差した。


(昔ながらのバーみたいな見た目だ。いや、でも大きいな。色々建物も併設されてるし役所も兼ねていのか)


 キイ。

 ユーゴが押し扉を開けると、様々な人たちが酒を飲んだり、壁に張り出された紙を見るなりで集まっていた。


「ここの全員がデュエリストなのか?」


「ええ。強さは人それぞれですが、よく見かける方なら腕利きのデュエリストと思っていいでしょう」


「ワクワクしてきたZE」


「これから進退のかかったデュエルするんですけど」


「やっぱ緊張してきたZE」


「君のことがわかんないよ」


 ユーゴは呆れながら、壁にかけてある棚から紙を取り出した。


「はい。ここに名前と今の職業。あと要件を書いてください」


「!!!!!」


 しまった。俺はこの世界の読み書きが……。


 ――色々と便宜も図って読み書きも出来るようにしといたわ。


 カン☆コーン!


 出来るZE!!!!!

 危ない危ない。ミナコが気を使ってくれなかったらマジで終わってたZE。

 これが神の恵み。ミナコありがとう。ということで壁にかけてあるペンで早速書かせてもらうZE。

 カキカキ。


「ショーブ・ムトー。流れのデュエリスト専門のバウンティハンター」


「はい」


「要件は決闘魔法の取得でももらおうか。こんなところか?」


「はい。後は係の人に渡すだけです」


「マジでいいのか? 少ない情報しかないZE」


「デュエルは社会の歯車ですからね。国民をデュエルの輪に入れてあげないと落伍者やデュエリスト崩れが国中にあぶれて治安が悪くなります。好む好まないに関わらず、貧困は人を悪の道に走らせますから」


「衣食足りて礼節を知るって奴か」


「ん?」


「なんでもないZE」


「緊張しなよ」


 ユーゴはそう言いつつ、少し歩いたところにある窓口に俺を紹介した。

 ドキドキだZE。門前払いだったらどうしよう。


「書類確認しました。ショーブ様こちらにどうぞ」


「あ、はい」


 カン☆コーン!

 やったZE!!!!!!

 横の扉が空いたZE!!! 入室だZE!!!


「ショーブ様ですね。試験会場にどうぞ」


 俺は事務室の奥に案内された。その事務員に会釈しつつ、俺はユーゴに手を振る。


「じゃ行ってくるZEユーゴ」


「頑張ってくださいね! 僕はそれまでアンセルの情報を探ってますから!」


 手を振ってくれている。


「おう!」


 俺はユーゴに手を振り返しながら、試験会場に入る。

 そこはランプがいくつか灯る程度の薄暗い部屋だった。


(なかなかの緊張感だZE。ちょっと怖いZE)


 その時、事務員が言った。


「ショーブ・ムトー様。あなたはこれからある試験官とデュエルしていただきます。それを倒せばあなたも晴れて決闘魔法を扱える――つまりこの国での人権が認められるようになります」


 俺は静かに頷く。ユーゴから聞いた通りだった。

 その時、粗野な足音が俺の耳をつんざく。


「来ました。彼が試験官です」


「あいつが……」


 事務員は高らかにその男を紹介する。


「その強さは折り紙付き。手札破壊ハンデスで並いる敵を葬っていくその姿から、付いた異名は『ハンデッド・手札殺しのキース』!」


 なんたる威圧感。俺は少し後ずさりする。


「さあムトー様。あなたはデュエルで彼を倒し、人間になるのです」


 事務員がそこまで言うと「それではご武運を」と告げ、事務室に戻る。

 すると、ランプに照らされたキースという男が静かに呟いた。


「久々に、シャバのカードが捨てられる……」


 キースはゆらりと体を揺らし、懐からデッキを取り出した。

 俺もデッキを構えて言う。

 なかなか怖い感じの男だが、見た目で判断しちゃいけないZE。

 ここは元気よく愛想よくだZE。ルールとマナーを守って楽しくデュエル!


「熱いデュエルを期待してるZE、ハンデッド・キース!」


「熱いデュエル? 勘違いするな。これから行われるのは一方的な手札破ハンデ――」


「行くZEデュエル!!!」


 デュエル開始の宣言をしろ伊蘇野!


「デュエル開始ィィィ!!!」(天の声)






【作者より】

 ここまで読んでくださりありがとうございます。

 ちなみにこのエピソードは一切、全く、全然関係ないんですが、作者はハ○ターハ○ターが大好きです。恐ろしく早い自己紹介。俺でなきゃ見逃しちゃうね。


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 次回は翌日12:00~13:00頃に投稿予定です。よろしくお願いします!

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