古書店には、今日も異国からのお客様が来る

帳要/mazicero

プロローグ 

 僕にとって、古書店は夢のような場所だ。


 有名な作品が安く手に入るし、知らない本を手に取って少し見てみれば、その本が大当たりなんてことも珍しくない。僕にとっては、遊園地やおもちゃなんかよりも古書店の本の方が何十倍も魅力的に思えた。

 だから、ちょっと前までは古書店の店主になるんだと思っていた。それだけじゃ生計は立たないだろうから、国語の予備校講師でもやろうと計画も立てていた。

 

 そうやって計画を綿密に立てていただけに、死んだ時のショックは大きかった。

 

 どこでショックを味わったかだって? 決まってるじゃないか。お約束の、神様のいる空間。そこで目覚めた時は本当に辛かった。辛いと食欲とか湧かないみたいで、三日間食べなかったらしい。まあ、死んでるから食事をとらなくたって生きていけるんだけど。

散々僕が職を受けた後、神さまがチャンスをくれた。普通はくれないらしい。よほどその時の僕は夢に執着していたんだろうなと思ってしまう。

 

 そんなこんなで、僕は今異世界に転生した。

 細かいことは省くけど、それなりの貴族の家に生まれて、魔法学院を卒業して、数年間お金を貯めるために馬車馬のように働いた。

 そして、今は古書店の店主をやっている。前世からの夢が叶ったのはうれしいけど、思っていたのとは違う古書店ができてしまった。まあ、古書店をできるだけ良いと思おう。定期的に本を売ってくれる固定客も見つけたしね。

 目指せ、古書店だけで生計を立てる人生! 

 

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