第19話【いや、もう帰りたい。】

カメラに映らない位置で立ち止まる。

「いやいや、マネージャーさん。ここ、ここ。」

MCの隣を指差される。

しかし、行かないわけにもいかず、覚悟を決めその場所に立った。


「それでは、マネージャーさん。お名前は?」

「関口と申します。」

「マイの事を助けた時なんですけど、なんでそんな事が出来たんですか?」

「昔から剣道をやっておりまして、体が勝手に動きました。」

「めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。」

「本当本当、そこからマネージャーになるってのも、なんか良いよね〜」

「ちなみに、おのみち246の事は知ってたんですか?」

「すいません。あまり流行りなどわかっていなくて、この仕事に誘って頂いた後に知りました。」

「なんか剣道ってのもあって、侍みたいですね。」

「そうなんですよ!何かもう、侍なんです!でも、最近はアスナの言う事に逆らえなかったり、モナに甘かったり…」


それを聞いたアスナが口をひらく。

「関口は妾の従者じゃからの。」

お姫様かな?

モナも負けじと続く。

「私のパパですし。」

それ言って良いんだっけ?


「ん!?モナのパパ?」

「そうでーす!」

「はい、そうなんです。」

「えー!!」

2人とも驚いた表情で、少しうける。


「それなのに、おのみち246知らなかったの?」

「モナの母親とは別れておりまして…」

少し重たくなった空気も、売れっ子芸人は流石に空気を一転させる。


「では、最後に何かメンバーに対してありますか?」

「そうですね、安心して活動出来るように、これから努めていきますので、宜しくお願いします。」


初回からとんでもない目にあったが、何とか収録を終えた。

一息ついていると、後ろから声をかけられた。

「お疲れさまでした。」

馬淵さんだ。

「お疲れさまでした。」

「これで、関口さんの事を知る人が増えますね。」

「え?放送されるんですか?」

「はい。」


困った・・・

護衛がメインだから顔がばれるのは避けたいが・・・

悩んでいると、馬淵さんが口を開く。


「職務の性質上、顔は隠すかもしれませんが。存在は知れ渡りました。」

「そうですか!なら良かったかな。」

「良くは無いです。なので。」

「?」

「今日は関口さんの歓迎会します。」

・・・いや、もう帰りたい。




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