第7話【思ってたんと違う】

アイドルとは。

可愛らしく、時に綺麗で、時におっちょこちょいで。

そういう所に、男女問わず夢中になるんだろう。

その裏側を、初日で見たくなかったな・・・


「関口、肩揉め。」

アスナさん、小一時間でそれはあまりにもですよ・・・

「なんか食べたりないなぁ・・・」

エリナさん、寿司桶一つはあなただけで完食してましたよ・・・

「なんかゲームないの?」

ナナさん、おじさんはゲームやらないよ・・・

「関口さ~ん、話聞いてますぅ~」

マイさん、ダル絡みやめてほしい・・・

「関口さんのハートを盗んじゃうぞ♡」

マフユさん、ちょっとイライラします・・・


「マイさん、そういえば明日、事務所に一緒に行くメンバーの事はマイさんに聞くように言われてるんですが。」

「あ~それはねぇ、この5人。」

「明日、8時40分にエントランスで平気ですか?」

「は~い、皆も平気だよね?」

『へいき~』

「じゃあ、もういい時間ですし、今日はお開きにしますか。」

『嫌だ~』


ちっ・・・

皆酒も飲んでないし、そう上手くいかないか・・・

「あの~」

「マイさん、どうしました?」

「呼び捨てで呼んでほしいです。」

「ん?」

「マイって呼んで欲しいです。」

「なんで?」

「距離感じるから。」

「マネージャーとタレントの距離感ですよ。」

「他のスタッフさんは呼んでくれます。」

「それは女性だから・・・」

「お願い♡」

「わ、わかりましたよ。」

「今、呼んでみて♡」

「マイ」

「はぁ~い♡」

「おい!ズルいぞ!アスナの事も名前で呼べ!」

「なんだよアスナ」

「えへへ//」

「え~私もナナがいいなぁ」

「私も!エリナって呼んで!」

「私はふ~ちゃんて呼・・・」

「マフユさんだけ却下です。」

「なんで~」


冗談はさておき

「仕事場では呼び方変える事もあると思うけど、その時はすいません。」

「それはいいけど・・・」

「はい?」

「敬語も無くして欲しいな♡」


(どうせ断れないし・・・)

「わかったよ、マイ。」

「///////////」


そのやり取りを聞いた、他のメンバーも揃って同じことを言ってくる。

こんなおじさんに何を望んでるんだ・・・

なんだか、なんだかさ・・・


「思ってたんと違う・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る