第三五語 偽善? 大いに結構
「
鋭い呼気を響かせて、魔術的な身体強化の
その
「くッ!」
微かな痛みに構わず反転して、背後へ抜けた相手との距離を詰めつつ、俺も鞘走らせた右手の “
されども、我らの
その僅かな隙に乗じて軽装鎧の
さらに一度
「悪いな、
「くっ、無粋ですね……」
動きやすさ重視の軽装と
こちらの予測に違わず、体格的に不利な拳打での組打ちを嫌って、バックステップで間合いを取った淑女に
「はあぁ!!」
「なッ!?」
曲芸染みた一連の
「…… 殿方らしい少々粗野な太刀筋ですね、クラウド」
「そちらは随分と器用だな、ご令嬢」
「ベルクス王国軍に属する双剣使い同士、そちらの技量には多少興味を持っていましたけど、こんな形で切り結ぶとは……」
微苦笑など浮かべて肩の余力を抜き、ゆっくりと両腕を垂らしたゼノヴィアが
ただ、隠す気も無さそうな気迫は一切
「何があったのか存じませんが、祖国に弓引くなど愚の骨頂。
「…… そこに部族国の亜人達は含まれないのか?」
「私は困っている “人間” と “亜人” がいて、“片方しか救えない” なら同輩を助けます。それだけのこと、綺麗事では誰も救えない。貴方は何がしたいのですか?」
「手を取り合う明日が見たいだけさ」
「道は違えども信義はあるようですね。ならば、いざッ!!」
瞬時に踏み込んできたゼノヴィアが魔力の宿る両腕を振り下ろし、紅蓮の焔など
同じく双剣に
「ッ、痴れ者め! うあ!?」
辛くも顔面からの衝突は避けたのか、石畳と籠手が鳴らす打突音を聞き流して振り向き、起き上がろうとする相手の側頭部を派手に蹴り飛ばした。
「う、うぅ…」
「恨んでくれて構わないぞ」
(………… まぁ、斬らなくて良い理由にはなるか)
敵方の指揮官を仕留めておくのは無駄にならないが、長らく愚直な聖女の護衛や、心優しい吸血姫の三騎士を務めて毒されたせいで、避けられる殺生には多少なりとも抵抗を感じてしまう。
既に
「いたぞ、 こっちだ!」
「貴様ッ、そこを動くんじゃないぞ!!」
「と言われても、必要な時間は稼いだからな」
そこから、
(抵抗勢力のことは露見し始めているものの、決起までは持ちそうか……)
残された僅かな間、娼館でペトラや人狼猟兵らの愚痴を酒など交えて聞いたり、シアの天然惚けに巻き込まれて麗蘭に
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人物情報(更新)
氏名:クラウド
種族:吸血鬼(偽)
兵種:
技能:中級魔法(風)
風絶結界
身体強化(中)
双剣術
称号:風使い → 三騎士
武器:鉄剣 →
血錆びの鉄剣 →
武装:
偽装の指輪
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