第ニ八話 他人の振りして良いか、ペトラ嬢?
西方大陸より遥か東方の平原にまで幾つか存在する亜人国家、かつて最大多数を誇る人族と各地で
かつて
現在に
そんな経緯を父親である人狼公ヴォルフラムから聞き及んでいても、普段なら
真っ昼間から首都の酒場で酔い、馬鹿騒ぎするベルクス兵達が給仕らを魔族呼ばわりしながら、顎で使う様子に眉を
「おいッ、早く次の皿を持ってこいや、遅いぞ!」
「それよりも酒だ、酒、グラスが乾くじゃねぇか!!」
「すみません、今直ぐに… うぁッ!?」
怒鳴られて焦ったのか、青白い肌が特徴的な蒼魔人族の娘が
「がははッ、酒も
「街を歩けばモテるかもな、酒臭くてよ」
「うるせえッ、黙ってろ!!」
「ひぅ、すみません、
改めて見ると悪くない顔付きや、肉感的な身体に気勢を削がれ、代わりに
「あうぅ!? は、離してください」
「店主、こいつを借りていくぞ、非礼の
「勘弁してくれ、お客さん。此処は娼館じゃないんだぜ」
「それぐらい知っている、馬鹿にしてんのかッ!!」
低姿勢ながらも食い下がってきた事に
「お前は誰のお陰で商売できてると思ってんだ! 汗水垂らして、街の治安を維持するベルクス王国軍あってのことだろうが!!」
「ちったぁ、感謝と誠意を見せて貰わないとな」
「持ちつ持たれつ、世は情けって奴だよ」
便乗した別席の兵卒らも薄ら笑いで
リネン生地の白いワンピースに若草色の上着を羽織った町娘の
されども安酒が廻った狼藉者は気づけず、母親譲りの美しさと可愛さが混在した狐耳の少女に下世話な視線を向けた。
「何だ、こいつの代わりに嬢ちゃんが相手してくれるのか?」
「う、うぅ……」
「
「あ? もう一度言ってみ… がぁッ!?」
それにより、肩へ担がれていた蒼魔人族の娘がずり落ちてくるのに合わせ、狐娘のペトラは彼女の衣服を掴んで引き寄せた。
「うきゃあッ!?」
少々乱暴だが、背に
「ぶべぅッ!」
「
意識を失って倒れる無様な姿を
「貴様、我々に逆らって無事で済むと思っているのか!!」
「
あからさまな挑発を正しく受け取り、酔いの
客観的に見て無駄とは感じたものの、刺激しないように落ち着いた声で語り掛ければ、近場の二人が振り向いた。
「連れ合いが失礼をした。貴君らの酒代は持つから、手打ちにしてくれないか?」
「これは金銭の問題じゃねぇ、軍人の
「引っ込んでろや、魔族
聞く耳持たずに殴り掛かってきた
堅く握り締めた拳で
「がッ、ぐえぇッ!?」
「… 吐くなよ、汚い」
「てめぇッ、
その打撃を左腕で
「くそがッ!!」
軸足一本で立つ羽目となり、無益な悪態など吐いている隙に左掌で
前後異なる方向に加えた力が相手の
「うごッ… う、あぁ」
なお、残る最後の兵士も、優れた脚力で跳躍したペトラが正面から頭部を両太腿に挟み、後方へ倒れ込みながら
「また
「けど、効果
小柄な狐娘が周囲を睨み付ければ、酒場にいる他のベルクス兵達は視線を
良いとは言えない陰湿な雰囲気に店主が頭を
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人物紹介 No.12
氏名:シア
種族:蒼魔人
職業:酒場の給仕
技能:調理
御茶汲み
生活魔法全般
巻き込まれ体質
天然
称号:青白い肌を持つ町娘
持物:鉄鍋 おたま
衣装:町娘の服
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