第十八話 転機はどこにあるか分からない
「何故、開門されないんだッ!」
「仔細は分かりませんが、防壁上の
側近の従騎士が声を荒げた軍団長リヴェルに
もし、壁面に掲げられた王国旗やアルニム辺境伯家の紋章旗が焼き捨てられ、代わりに部族国の領軍旗が風に
守備兵らの不在だけでは他の可能性も捨てきれず、軽々しく判断すれば致命的な失態を招いてしまう危険すらある。
(まさか、この短時間で中核都市を奪還された? いや、常識的に考えて有り得ない)
騒ぎ始めた兵卒らと対照的に、軍団長である貴族家の嫡男は思索を深めていくも、それ自体が騎士令嬢アリエルの策謀であり、嫌がらせのような罠に嵌っていた。
分かり
(くそッ、クレイドらの犠牲が……)
一個大隊規模の
遠からず、駐留軍本体は
「全ての門が封鎖されていた場合、
「ははっ、何処までもお供いたしましょう」
「
覚悟を決めた側近達は
蛮勇でアルニム家の名誉は最低限守られても、引き連れてきた配下の
(いや、それも怪しいな……)
現状で本国と前線を結ぶ重要拠点が奪われる影響は大きく、以後の推移次第では部族国への遠征自体が
そもそも、戦場まで付き従ってくれている兵士達は辺境伯領の民草であり、短絡的な玉砕で命を散らさせるなど論外だ。
比較的大きいロズベルという町が近隣にあり、立ち寄って略奪を敢行すれば物資の調達はできるものの、手間取っている内に魔族勢が追いつくのは自明と言えよう。
何よりも、街道の方角には相手方の群影が見えており、再接近するまでの猶予は残り十数分に過ぎない。
「おいッ、後ろからさっきの連中がくるぞ!」
「どうして北門が開かないんだよ、俺達を見殺しにする気か!?」
「これでは士気が維持できません。リヴェル様、どうか御英断を!」
「進退
最早、
敵陣に切り込んで一矢報いるため、密度の高い
「なぁ、私が
「いえ、致し方ありません、
「
手元に存在しない白旗は振れないが、交戦を望まない意思は十分に伝わる
その様子を防御塔に隠れて眺めながら、いざ戦闘になれば目星のついた総指揮官らしき若者を魔弾で射殺そうと
(ま、姫様なら、降伏を受け入れるだろうし、戦いも終わりかな?)
「私はベルクス駐留軍を
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