第十七話 都市奪還
少し時間は
黒い
喜悦の宿った紅い瞳を細め、魔力など通さずとも
「守備隊の数は二百名程、城の敷地内に施設された駐屯地は空で、四方の各門に一個小隊といった感じかな? ん、問題なく
視界に収めた標的の位置関係だと、早々に部隊連携を取れる距離でもないため、手際よく強襲すれば小隊同士の戦闘を数回繰り返すだけに留まる。
領軍の最精鋭と断じても過言ではない、吸血鬼族のみで構成された飛兵小隊の実力なら、比較的に簡単なお仕事かもしれない。
天高く掲げた右掌に大きな紅蓮の
「
「ぶちかましてやりましょう、
裂帛の気合を
「…… もしかして、こっちが素なのか」
「いや、方向性が違うだけで、いつも通りの
「くだらないこと
「「「うぉおおぉお―――ッ!!」」」
再度の発破で
襲撃に先駆け、警鐘を鳴り響かせた彼らは援軍など早々望めない苦境に立っており、頭上へ
「ッ、盾が持たな… ぐうぅ!?」
「くそがッ!!」
鈍い破砕音が連続する中で、魔法の一発、若しくは二発を受け止めるくらいが
それでも初撃を
「落ちろや、人外どもッ!」
「好き放題しやがって!!」
携行し
低い呻き声が漏れ聞こえたものの、頑強な人外の身体と修復力を持つため、致命傷でなければ本人が痛いだけに過ぎない。
それを踏まえて急所など
「うぅ、ッ……」
「ぐッ、う…… あぁああッ!?」
柔らかい鞭のように剣身がしなり、近場にいた守備兵二人の喉元を切り裂いて、血飛沫を
さらに留まる事無く、縦横無尽に
「ふふっ、綺麗な色」
上機嫌で
「なッ、吸血鬼のみで構成された部隊だと!?」
「畜生め、防壁が意味を成さないじゃないか!」
貴種であるため絶対数が少なく、ほぼ必ず指揮官を勤めている印象の精鋭らで構成された強襲部隊に対して、北門を護る守備兵の数は十分と言えない。
事前に矢を
迎撃側が攻めあぐねている一方、防壁付近まで到達した赤毛の騎士令嬢は右腕に紅蓮の焔を
「“
「「「ッ、うわあぁああ!?」」」
派手な
実は注意を
「はッ、隙だらけだな」
「
「ッ、ぐぁ…… ッ、斬り」
「ちッ、持たせるのは…… 無、理か…… ッぅ」
「「う、うぁッ……ぅ……」」
「ぐッ、痛ぇ……
時折、聞こえてくる呻き声に耳朶を擽られつつも、駐留軍本隊の現在地から最寄りの出入口を押さえた騎士令嬢が一息吐き、未だ健在な東西の門を防御塔より見渡す。
「何気に此処からが正念場かな? ん~、ちょっと安請け合いしたかも、姫様とクラウドには御褒美を貰わないと」
全ての門を陥落させなければ、
作戦を継続するにあたり、各個撃破の順番待ちを相手方が素直にしてくれたら良いものの、戦場に吹く風は常に流動的だ。
「ま、それが面白いんだけどね」
薄く微笑んだアリエルは先程と同じく、数名の吸血種を北門に配置して、残りの
それから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます