第十一話 遠慮がない使い魔と黒曜公の書簡
他方、頭を悩ませるベルクス王国の将校らとは対照的に、部族国の南東領軍を
「ふふっ、自軍の損耗を軽微に抑えて、効率的な足止めと削減ができたみたいね」
「
「援軍は断られたものの、新参の吸血騎士に感謝しないと」
風に靡く
「相手方の動きに変化の兆しが無い限りは現方針を維持、もし強行軍を取ってきたら、侵攻に合わせて中核都市の放棄も検討する」
「では、その
「えぇ、エルザ嬢の騎士に直接送るのは疑念を生みそうだから」
領地での開戦に先立ち、友軍に帯同させていた連絡員が使い魔の
(元々、森林地帯に罠を仕掛けて遊撃する予定だったけど……)
さり気なく提案された戦術では、手間の掛かる殺傷力が高い罠を減らして、囮罠を大量に設置した方が良いとの指摘が含まれていた。
「“低確率であろうが当たりを引けば重傷を負い、運が悪ければ死ぬ状況で、
「実際、先陣の兵達は腰が引け、遅々たる歩みになっていました」
「本当に良い的でしたよ、魔獣を射るよりも簡単です」
序盤戦を制した安堵
直後、彼女の立ち位置を除いた地面が激しく揺れて、半径10m前後の同心円状に局所的な地震が起きた。
「「「うぉおおおッ!?」」」
「ちょッ、黒曜公、止めて下さい!!」
「一度、痛い目に遭えば魔獣だって学習する。次も同じように成功すると思うな、油断は自身と仲間を殺す。それに……」
罠の恐怖と自己保身で動きが鈍った隙を突き、森の狩人たるダークエルフの弓矢で敵兵を間引く
上手く成果を出しても、新しく吸血騎士となった見知らぬ相手の思惑に乗せられている感は
「…… 申し訳ありません、浅慮に過ぎました」
「うぅ、面目ない」
「未だに不利な戦況だから、皆も気を緩めないようにしてね」
彼女の側近達も自身の務めを果たすべく、少し遅めとなった
そんな風景をぼんやりと眺め、父親の跡目を継いだ幼馴染の横暴により、いつも面倒な書類仕事を押し付けられる弓騎士のティアは軽く溜息していた。
(偉い人宛の代筆って、結構な気を
若干、雑念が入った脳裏で文面を起こし、忘れないうちに記述しようと
やがて仕上げられた書状は南東領軍に帯同している吸血鬼を経由して、騎士令嬢のアリエルより何羽か
行軍中は互いの位置関係が継続的に変化するものの、距離の影響を受け難い魂魄の繋がりを
その半刻ほど前、まだベルクス王国軍の支配下に無い中央領外縁の街で商隊を
すぐさま褒美を寄越せとばかりに鴉が
「ちッ、やってくれたわね、この下僕ッ!」
「カァ、カァ~♪」
唐突にじゃれ合い出したアリエルと使い魔を
それは隣で敷物に座して、実家の老執事でもあるレイノルド特製の
「あ、すみません、ちょっと待って下さいね」
「まったく落ち着きの無い、いつまで小娘気分なんだ?」
「年々老けて、
愚痴混じりに差し出された羊皮紙を受け取り、小さな紙面にびっしりと書き込まれた文字を流し読んでから、紅い瞳の彼女は
反射的に掴んでしまった手前、素直に読み進めれば南東領に
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人物紹介 No.8
氏名:リズヴェル・ヴァイク
種族:黒曜のエルフ族
職業:
技能:身体強化(中)
長剣術
中級魔法(土)
大地共鳴
樹木操作
称号:黒曜公
武器:黒塗りの長剣
武装:森林迷彩の外套
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