第六話 人狼公ヴォルフラムとの奇縁
ディガル部族国の中央領に
身軽そうな豹人や
雑多な視線が向けられる中、綺麗に手入れされた
「おぉ、上手くいったようだな、
「うん、ウォルギス達が頑張ってくれたから」
「うむ、流石は我らが戦士長だな」
「危険な任務、お疲れ様でした」
などと、親しげに声を掛けてきた人狼族らしき衛兵達が気になり、北門を抜けて市街地に入ったところで、
「戦場にいた連中は皆、狼男の姿で
「人間から見た彼らは
さも当然の事だという態度で返され、自身の見識が浅く
聞けば細かい作業をするのに肉球は向かないことに加え、狼の声帯だと発音に制約があるため、
頭部の耳と尻尾を除けば人間のような猫人族や、二本の巻角等を持つ以外に差異の無い羊人族が相手なら、彼らが扱う西方諸国の共通語で言葉を交わす必要がある。
「ぐるぅ うぉおるぁうお あぁおうぅ (私は 別にどちらでも 良いけどね)」
やや得意げな吸血姫が犬系獣人の言語で話し掛けてくるも、全く理解できないので取り敢えず頷きだけ返して、街並みなど眺めながら大通りを
そこには先頭の狐娘と同じく、ふわりとした尻尾を持つメイドが人狼の衛兵らに紛れて
「お帰りなさいませ、ペトラ御嬢様。先ほど先触れの伝令兵が来てから、ご当主様が首を長くして待っております」
「ありがとう、ティセ」
「相変わらずの心配症だな、うちの大将は……」
「ふふっ、それがヴォルフラム殿の良さですよ」
無遠慮な黒狼の呟きに吸血姫が微笑んで、狐娘も微かに尻尾を
そうして案内された庁舎内の執務室では、屈強な
「
「一々突っ込むなよ…… 大丈夫だったか、ペトラ?」
「ん、無傷、襲撃の時は路地裏でじっとしてたから」
「ちゃんと大将の言い付けを守ってましたぜ」
“
若干、話が
「また会えて嬉しい限りだ、エルザ」
「私のような
「気にするな、旧友の娘を助けたに過ぎん。戻れなかった同胞も二名ほどいるようだが、
単なる善意だけで救出を敢行した訳では無いと言い切り、貴種の義務を果たせと言外に
その様子に
「はッ、面白い顔だな、噛んでやった肩の傷は… 聖女が治したのか?」
ふいに口端を吊り上げるや否や、偉丈夫が見覚えのある狼男に変身して、鋭い犬歯を見せつけてから人の姿へと回帰する。
「ッ、まさか、陣中に
首都に続く平原の戦いで継戦の
血と脂に
剣柄から離した右掌を脇腹に添え、零距離より放った風刃で深手を負わせて、土壇場で痛み分けに持ち込んだ奇縁があった。
当時、
結果的に勢いづいたベルクス王国軍が激戦を制して、現状にまで続く優位を決定付けたことなど
「ふん、まんまと吸血鬼に擬態しているようだが、どういった酔狂だ」
「人狼公、クラウド殿は金貨の多寡で動く傭兵です。
「ならばエルザの倍額を出す、うちの軍門に
「ちょッ、父上!?」
驚いて抗議しようとした狐娘のペトラを母親がやんわりと
「主人が無茶をして傷だらけで帰還した
「イリーナ様、傭兵の引き抜きはお断りしたいのですけど……」
過分な期待が籠められた貴婦人の言動を受け、やや動揺した吸血姫の横顔を盗み見しながら、俺は予期せぬ展開に深い溜息を漏らした。
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人物紹介 No.5
氏名:ヴォルフラム・ゼーゲンヴァルク
種族:人狼
兵種:
技能:身体強化(大)
咆哮(眷族鼓舞)
格闘術
大剣術
完全獣人化
愛妻家 子煩悩
絶掌(魔法由来の現象を絶つ)
称号:人狼公
武器:ツヴァイハンダー
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