第二話 虜囚の辱めを受ける吸血姫
『
まだ見ぬ新天地を求め、とある国家の支援を受けて大海原へ漕ぎ出した勇敢な冒険者達、幸運にも見事に生きて帰還した彼らの一部が口にした言葉だ。
似て非なる “
つまり、いまだに人間も亜人も、進出できるのは既存の場所だけであり、種族の繁栄に必要な資源は限られている。
(だから飢饉の兆候などが起これば、些細な違いに
衆人環視の中、敗走の末に捕縛された見目麗しい吸血鬼族の令嬢が
特別仕様の荷車に悪趣味な黄金の枷で繋がれ、
「はッ、
「違いねぇ、あれで陛下への貢物になんのかよ」
「一応、先日に討った吸血公の姫君らしいな」
「「「…………」」」
大通りに
これから異国の地で慰みものにされる貴種への同情を受け、
「ッ、まさか!」
「「「ウォォオオオ――ッ!!」」」
はっとして見渡せば、屋根上に潜んでいた人狼数匹が飛び降り、ベルクス兵達の頭上から強襲を仕掛ける。
手頃な位置にいた連中の顔面を踏み台にして、荷車の付近まで躍り出た彼らは四方を固める兵卒目掛け、抜剣する暇も与えずに鋭い爪を振り下ろした。
「ぐべッ!」
「ぐうぅ!?」
粗悪な
「ま、待ってッ」
「「グルァア!!」」
瞬時に脳を焼かれた
「最初の威勢はどうしたよ、化物ッ!」
「切り刻んでやる!!」
「ガゥ、グルルゥ…… (ちッ、不味いな……)」
「良いから逃げなさいッ」
悲痛な叫びに黒い毛並みの戦士長が撤退を考慮し始めた直後、近くの路地裏から
「「グゥ! (なッ!)」」
「「うぉおおおッ!?」」
荷車を囲んでいた全員が敵味方問わず、強烈な突風に
「……
「奇遇ですね。私もそう思っていました」
半裸に近い卑猥な恰好をさせられた姿を
「待って、この鎖……」
「触れなければ、どうと言うことは無い」
言葉で止める暇もなく、傭兵もどきの乱入者が得物を振るい、生じさせた風の刃で拘束を
虜囚の魔力を雷撃に換える縛鎖が断裁されたと見るや否や、起き上がって様子見していたベルクス王国の者達が我先にと斬り込んだ。
「そう簡単に逃がすかよッ」
「死ねや!!」
「ガゥオッ、グォ (ええいッ、
「グァオオゥ、アオォンッ (良く分らんが、機に乗じるッ)」
声高に
なお、強壮な彼らの毛皮には防刃性があるため、負傷も覚悟で強引な追撃を仕掛ければ、圧倒的に優位なはずの軍勢が
何やら頭数の多さが裏目に出て、“危険を
「よいせっと!」
「きゃうっ… ふ、えぇ!?」
唐突に抱き上げられた吸血姫が動揺して場違いな悲鳴を上げるも、やや赤くなった表情を
「華奢な体躯なのに意外と重い」
「っ、
「切実な問題、でもあるんだがな」
「ん、それって……」
可愛らしく小首を
それを頃合いと判断したのか、潜んでいた外套姿の少女が両掌に魔力光を灯すと、強く打ち鳴らすことで澄んだ
「「なんだ……」」
「何処から音がッ!?」
微細な振動に乗せられた誘引の魔法で意識が
取り逃がすまいと指揮官が怒鳴り立てるものの…
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人物紹介 No.2
氏名:????
種族:人間
職業:
技能:中級魔法(風)
風絶結界
身体強化(中)
双剣術
称号:風使い
武器:鉄剣(主)
血錆びの鉄剣(補)
武装:
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