第11話 11月3日は井杉類くんの誕生日

『店長、グラスにお客様へのプレゼントに井杉くんの限定写真集の販売準備出来ましたよ』

そう言ったのは柳くんだった。

今日の11月3日は井杉類くんの本当の誕生日の日である。

設定とかではなく、本当のね。

店長にはある悩みがあった。

最近、ハロウィンの日に井杉類くんから自分の誕生日イベントが終わったらロイドを辞めようと思うと相談があったのだった。

理由はその日に北野先生に本当のことを話してお礼を言ったら、この男装カフェを去るというものだった。

店長は必死に辞めるのをやめないかと止めようとしたが、意思が固く11月3日で彼はここを去ることが決まってしまった。

他の従業員にはハロウィン後に伝えていた。

彼がロイドに来て半年、ロイドと共に成長してきた仲間が今日を持ってロイドを去ってしまうことに店長は準備をしている最中に目から涙が出て来た。

その姿を見た怜樹が店長を抱きしめて、柳がもらい涙で泣いていた。

そんな状況に井杉は無理矢理笑いを浮かべて、店長と怜樹、それから柳の姿を目に焼き付けた。今日で最後だから彼らをじっと見つめた。

井杉は言った。

『店長、怜樹さん、陸。最後は最後らしく笑ってイベント成功させようぜ』

全員で円陣を組み、全員で言った。

『『いつまでも一緒だ』』

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