チョコレートユーレイ

なになに、怪談話、わたし、霊感とか強いほうだけど、なんかないかって、まあ、あるといえばあるよ、そんな期待されてもねえ、とりあえず聞くだけ聞いてみ、昨日の昼過ぎのことなんだけど、そこの商店街歩いてたら、向こうから板チョコがやってきたんだ、むきだしの板チョコ、それに手足が生えてた、他の人に見えたかどうか、そんなん知らんし、まわりにいちいち確かめたりせんでしょうが、チョコレートを食べすぎて死んだ男の子の幽霊だー、ん、そんなとこなんじゃないの、あー、別段、そんなチョコレートを押しつけられたとゆーよーなことはなかったなかった、手提げ袋持ってたからおおかた買い物がてら散歩でもしてたんじゃないの、何かなかったかって会釈しながらすれちがっただけ――ああっそうだ、今気づいたんだけど、なんでちょっと頭下げたかって道が狭かったからなんだけど、それってあっちのほうが板チョコのヤツが横に広くてじゃまだったからじゃん、あれ、なんか衝撃の新事実でも期待してたん? そんなんありゃしないっての、これでおしまい!

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