通称バナナ

通称バナナはバナナの皮の中で眠っていたのが最初である種の虫のようなものだと後の後になって考えられるようになったが正確なことはよくわからないしどうだっていいことだ。バナナははじめてそれを見て驚いている男の指先を食いちぎるとその質量分大きくなってそのまま腕を食おうとしたところでさすがに振り落とされると換気扇の隙間から逃げていってしまった。第一発見者は病院へ行ってバナナの中にいたなんか変なのに指を食いちぎられたと訴えたがそんな話信用されることもなくてバナナの存在はこの時点ではおおやけにされることはなかった。ついでその近所の公園で猫が一匹食い殺されてるのが見つかって、ついで犬、ついでついでと、だんだんと死体のサイズが大きくなっていって、ついには子供が一匹死んでしまった。そのときになってさすがにちょっと変だと思われるようになって調査隊が編成されたのだけれどおそすぎた。バナナはすでに大人を倒し切れるほどに成長していてそうなってしまってはもう対処のしようがなかった。あわてて武器を持ち出したもののそれすらばりばり食われてしまって食われた以上はそれはバナナの力になってもっと強い兵器をぶつけていっても後の祭りというもので最後は星ごとばりばり食ってしまってそれでもまだまだ終わることはなくてついで月、ついで太陽、はては宇宙まで飲み込んでしまってバナナが宇宙になってまた彼は眠りについたからいつかまたバナナの中で彼が眠っているのが見つかることもあるかもしれない。

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