サルギモと心臓

サルギモが畑を耕していたところがきんとなにか硬いものにあたってそれがなんだろうかと考えながら手をしびれさせていたところいきなり地中から真っ黒で骨ばった腕が伸びてきたかと思えばそいつはサルギモの心臓をつかみとってしまった。そうなれば人間死ぬが道理というところだろうが偶然通りがかった老人がぺっと口の中にふくんでいたりんごの種をサルギモに吐きかけたところそれが仮初めの心臓となってサルギモは再び動き始めた。その老人が語るところにはサルギモの心臓を奪ったのは地中の奥深くに眠るガナリシワガレの悪魔でひとまず仮初の心臓を入れたには入れたがこのままほっとけばまあお前の命は3日ももつことはない、故にお前さんがこの先も生き延びたいと思うなれば地中深くまでガナリシワガレの悪魔を追いかけて自分の心臓を取り返すしかないということだった。悪魔は怖いがしかしこのまま死ぬわけにもいかないから、サルギモは使い慣れた鋤を片手に悪魔の逃げた穴の中へと飛び込んだ。ぐねぐねと曲がりくねった暗い穴を降りていく中でネズミ、モグラ、コウモリと出くわすが、サルギモは仮初めの心臓の力を借りて自慢の鋤でそれらをことごとくぶん殴る。ついにたどりついた穴の奥の奥の一番暗いところにガナリシワガレの悪魔がサルギモを待っていた。ガナリシワガレの悪魔は仮初の心臓と自分の奪った心臓との交換を持ちかけるがサルギモはそれを拒否して鋤で悪魔に殴りかかるがあっさりと返り討ちにされてしまう。悪魔が倒れたサルギモから仮初めの心臓を取り出そうとしたその瞬間、サルギモが全身に力をこめると悪魔に奪われたはずの心臓が鼓動をはじめる。悪魔のおどろきひるんだすきにサルギモは鼓動を最大にすると見事に悪魔を打ち倒すことに成功する。心臓を取り返したサルギモは地上に戻ると穴を埋めてその後はのんびり農作業をして暮らしたがその生涯の間ずっと豊作がつづいたという。

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