ショート・ストーリー
ミソパンと焼きまんじゅう
「メイア、めずらしいミソ料理が食べたいです」
宝石神殿へ遊びに来ていたシストメアちゃんが、私の手を取ってくる。シストメアちゃんのお願いを断る理由はない。
どのようなミソ料理にするか考えていると、以前北関東へ遊びに行ったときのめずらしいミソ料理を思い出した。名前はミソパンと焼きまんじゅうで、もうひとつのミソこんにゃくも作りたかったけれど、手元にこんにゃくがなかった。
「おやつ感覚で食べられるミソをつかった料理があるよ。簡単に作れるから、シストメアちゃんも作ってみる?」
「もちろん一緒に作りたいです」
「コパも一緒に作るの」
シストメアちゃんとコパリュスをつれて、宝石神殿の料理場へ向かった。ムーンとスターには部屋でまっていてもらう。
手頃なパンがちょうどあったので、パン以外にはミソと砂糖と塩を用意した。
「まずはミソパンから作るね」
「どのような料理ですか」
シストメアちゃんが聞いてくる。
「パンの間にミソだれを入れて食べる料理よ。そぼくだけれどおいしいのよ」
「たしかにめずらしい料理です」
「コパは早く食べたいから早く作りたいの」
「手軽に作れるから教えるね。最初はミソと砂糖を一緒にまぜて塩を少しだけ入れてから、全体を少しだけ温めてほしい」
私が実際に作りながら説明して、シストメアちゃんとコパリュスも作り始める。順調にミソの部分が作り終えると、次はパンに取りかかる。
パンは手のひらよりも大きめで、形状は楕円形であった。
「少し固めのパンですが、このパンを使うのですか」
「固さは好みだけれど、もうひとつのミソ料理が柔らかいパンを使いたいから、食感を変えるために固めのパンにしたのよ。高さ方向のまんなかに切れ目を入れてミソだれを塗れば、ミソパンの完成よ」
「たしかに簡単です。さっそく作ります」
シストメアちゃんがパンに切れ目をいれる。コパリュスも同じく作り始めて、あまり時間をかけずにミソパンが完成した。
「次はどのようなミソ料理なの?」
コパリュスが聞いてきた。
「焼きまんじゅうという料理で、小さなパンにミソを塗って、3個か4個のパンが串にささっているめずらしい料理よ」
まんじゅうといっても中に餡子は入っていない。ふわふわパンの上にミソだれが塗られている料理であった。
「完成が楽しみなの。作り方を教えてほしいかな」
「最初は下準備で、小さなパンを3個だけ串に刺してほしい」
手のひらくらいのパンをシストメアちゃんとコパリュスに渡す。本当はパンと異なるけれど手持ちのパンで代用した。ふたりは木で作った長い串にパンを刺す。
「パンの準備ができました。次は如何しますか」
「ミソと砂糖を混ぜてから、とろみがでるまで温める。その後は串に刺さったパンを焼きながら、作ったミソだれを表面に塗る感じね」
火の魔石具を使って串に刺さったパンを焼く。シストメアちゃんとコパリュスも同じように作り始めた。2回ほどミソだれを塗って、焼きまんじゅうが完成した。さっそくミソパンと焼きまんじゅうをムーンとスターがいる部屋へ持っていく。
「ミソの香ばしさが漂っています」
「ぼく、はやく、たべたい」
ムーンとスターが食欲をそそる匂いで待ちきれないみたい。
「焼きまんじゅうは温かいうちに食べるのがおいしいよ。ただ口の周りにミソだれがつくから、食べるときは気をつけてね」
みんなの前にミソパンと焼きまんじゅうを並べた。さっそくコパリュスが焼きまんじゅうを口に入れる。
「甘塩っぱくて、ふわふわしていておいしいの」
「パンにミソの濃さが絶妙にからみあって、ミソパンは不思議なおいしさです」
コパリュスに続いて、シストメアちゃんもミソ料理に満足していた。ムーンとスターに視線を向けると、おいしそうに食べている。
みんなのうれしい笑顔が見られて作った甲斐があった。私もミソパンと焼きまんじゅうに手を出す。すてきな時間をみんなで過ごした。
(了)
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