第49話 幻想的な宝石神殿
日中に宝石神殿の礼拝堂へみんなを集めた。シストメアちゃんもいてトナタイザンさんも呼んでいる。テーブルを置いて、その上に作ったステンドグラスを乗せる。七色のステンドグラスが、それぞれ10枚くらいあった。
「メイアちゃん、きれいなガラスみたいなのがテーブルに置いてあるけれど、何を始めるつもりかい」
マクアアンリさんが聞いてきた。
「宝石の破片で作ったステンドグラスよ。ジュエリーとして使いにくかったルースを有効活用して作ってみた。このあとステンドグラスを飾るけれど、その前にみんなでみたいと思って来てもらったのよ」
「興味深いステンドグラスだ。ぜひ近くで見たい」
シンリト様が話ながらテーブルに近寄ってくる。
「じっくりみてね。魔法で補強してあるから、手にとっても大丈夫よ。ぜひ光にかざして色の変化を楽しんでほしい」
「さっそく見させてもらう」
シンリト様が緑色のステンドグラスを手に取った。それにあわせてほかの人たちもステンドグラスを眺め始める。
ステンドグラスを眺めている、みんなの姿を遠目からみていた。驚いている表情やうれしそうな会話が聞こえてきて、私にとってはうれしいご褒美だった。
「みんなが気に入ってくれてよかった」
「コパもすてきなステンドグラスでうれしいの。このあとはどのように飾るの?」
私の腕を取りながらコパリュスが聞いてくる。私を見つめるコパリュスの瞳は期待に満ちているように思えた。
「ステンドグラスから差し込む光が、オパリュス様の像へ降り注ぐようにステンドグラスを設置したい。きっと幻想的な風景になると思うのよ」
「すてきな発想なの。コパも手伝うの」
「一緒に設置しようね。ステンドグラスが落ちると大変だから、設置が終わったあとに強化魔法をお願いできる?」
「もちろん平気なの。コパが魔法をかければ、壊れなくて盗まれないかな」
コパリュスの頭をなでると、目を細めて笑顔を見せてくれた。
ステンドグラスを見終わったみたいで、みんなが私のほうへ視線を向けた。
「これからステンドグラスを設置するから手伝ってくれる?」
「もちろんだよ。重たい荷物や危険な部分は、あたいらに任せておくれよ」
マクアアンリさんが答えてくれた。
ガルナモイトさんとトアイライオさんが、はしごを持ってきてくれた。私の指示に従って、スズリピララさんがステンドグラスを取り付けてくれる。
順調にステンドグラスが設置されて、最後のひとつは私が取り付けた。
「これで完成ね」
すべてのステンドグラスが飾られると、幻想的な光がオパリュス様の像へ降り注いだ。ダイヤ、エメ、ルビー、サファが出現して、オパリュス様の像を中心にうれしそうに飛び回る。
「すてきな光景なの。これもメイアのおかげでコパはうれしいの」
「みんなが協力してくれたから、今までにない神秘的な空間になったよ。みんなありがとう、私もうれしい」
礼拝堂の中は笑顔であふれて、幸せな時間をみんなで共有した。
ステンドグラスを設置した夕方に、宝石神殿の5階でジュエリーを奉納する。宝石神殿のレベルアップはなかったけれど、私自身の情報に変化があった。宝石調和スキルがレベル5になっていた。コパリュスたちや精霊たちが一緒に喜んでくれた。
夕食はステンドグラスの設置を祝うために、みんなで一緒に過ごした。
今まで作っためずらしい料理を私とコパリュスで振る舞って、ルーパさんとリテさんはデザートを作ってくれた。シンリト様からはワインを提供してもらって、夜遅くまでみんなで楽しい時間を過ごす。
私にとってのすてきな日常だった。
(第2部 了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます