宝石神殿レベル15
第43話 エメとうれしい情報
「ウチ、メイアト、ハナシタカッタ」
ダイヤと同じ大きさになったエメが、私の近くに飛びながら寄ってくる。精霊に触れないけれど、おもわず抱きしめたくなった。
「私もエメと話したかった。エメの声は姿と同じく、かわいらしい」
「メイアノ、チカク。ココチヨイ」
エメがうれしそうに私の周囲を踊りながら飛び回った。
「私もエメたちと一緒にいられる、宝石神殿は快適な場所よ」
「ウチ、ウレシイ。メイアニ、カゴ、アタエル」
エメは飛び回りながら、銀色の粒子を私へ降り注がせた。暖かな空間に包み込まれた感じがした。これで宝石神殿以外の場所でも、土の精霊に続いて風の精霊の助けを受けられる。
「メイアはすごいの。ここまで精霊に好かれた人物は非常に少ないかな」
横にいるコパリュスは驚きながらも、うれしそうだった。
「私も精霊たちが好きだからうれしい」
「メイア、シンクノホノオ、ホシイ?」
エメが私の目の前にきて話しかけてくる。
真紅の炎はレベル10の宝石と地金の強化や加工に必要な炎だった。私が知っている範囲では真紅の炎はクンウラ山脈しかなくて、持ち帰ることができない。真紅の炎を利用するにはトナタイザンさんの助けも必要だった。
「いつでも使えるようにできればうれしいよ」
「ヨンダイセイレイ、カゴモチ。トクシュ、マセキグ。シンクノホノオ、モテル」
エメの言葉は短い単語で具体的な方法までは分からないけれど、真紅の炎を持ち運べる手段を教えてくれた。
「特殊な魔石具なら真紅の炎を持って帰れるのね。特殊な魔石具を作るには、4大精霊の加護が必要であっている?」
「ソノトオリ。ゼンブノカゴ、モツト、ワカル」
私の問いかけにエメが目の前で回転を始める。
うしろのほうにいるダイヤはお辞儀して、ルビーは飛び跳ねる。サファも敬礼をしてくれた。すべての精霊が私の言葉に意思表示で教えてくれた。あとはルビーとサファの加護を持てれば、具体的な内容が分かるみたい。
「うれしい情報をありがとう。ルビーとサファが上位精霊となれるように、宝石神殿のレベルアップを頑張るね」
今までのレベルアップ傾向から、ルビーとサファも上位精霊になれるレベルがあると思う。レベルアップすればオパリュス様も喜んでくれるから、今後も宝石とジュエリーの奉納を頑張りたい。
「真紅の炎がいつでも使えたら、幻のジュエリーを奉納してくれるの?」
上目づかいにコパリュスが聞いてくる。
幻と言われるアダマンタイトとダイヤモンドを使ったジュエリーは、この世界の職人では材料集めからむずかしい。でも宝石神殿の環境で私が持っているスキルならば問題なく作れるし、作ったら奉納するつもりだった。
「もちろんたくさん作って奉納するよ」
肯定をしめすようにコパリュスの頭を撫でると、笑顔を見せてくれた。
「楽しみなの。でもコパは宝石神殿の強化が楽しみかな」
エメが話したのに驚いて、まだ宝石神殿がレベルアップした内容をみていない。
「私も確認したいから、一緒にみようね」
コパリュスと一緒に石のテーブルがある場所まで移動する。コパリュスが石のテーブルへ手を乗せると、近くにある画面に文字が写し出された。機能向上の項目に風の上位精霊という項目が追加されている。
「風の上位精霊が追加されてコパはうれしいの」
「私もうれしい。これからも宝石神殿のレベルを上げて、火と水の上位精霊の項目も追加させたい」
「メイアならきっとできると思うの」
「宝石やジュエリーをたくさん奉納して、早くレベルが上がるように頑張るね。レベルアップやエメが話せるようになったから、ムーンやスターに知らせないとね」
宝石神殿のレベルアップ内容を確認したあとに、私自身の情報を確認したけれど変化はなかった。
精霊たちに見送られて、コパリュスと一緒にムーンとスターを探した。ムーンとスターは果樹園にいて、レベルアップなどを知らせると喜んでくれた。
そのままみんなでシンリト様とリンマルト様たち、ガルナモイトさんたちやヤシャシートンさんに、エメが話せるようになったと報告した。精霊となじみが深いトアイライオさんがとくに驚いていた。
宝石神殿のレベルアップから数日後、コルンジさんが宝石神殿に訪れた。定期的な取り引きのためで、導きの道には驚きながらも移動が楽になったと喜んでいた。
コルンジさんは私が頼んでいた馬車用の馬と家畜、調味料を持ってきてくれた。私のほうは宝石とジュエリーを代金の代わりに渡す。
近日中にラコール領へ行くので、馬の入手によって馬車移動が可能となる。馬のあつかいにはなれていないので、マクアアンリさんに聞くと、ガルナモイトさんたちの元冒険者は誰でも御者が可能と教えてくれた。
ラコール領へ行くときに御者をお願いすると、ガルナモイトさんとマクアアンリさんが一緒に同行してくれることになった。留守番をトナタイザンにお願いすると快く引き受けてくれて、ラコール領へ行く準備が整った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます