第33話 献上品の候補案
夕方まで宝石神殿の地下1階で、宝石の研磨とジュエリー作成をおこなった。あとは宝石とジュエリーを宝石神殿に奉納するだけで、コパリュスとムーン、スターと一緒に道具の片付けを終えたところだった。
「献上品のジュエリーは決まったの?」
横にいるコパリュスが聞いてくる。トクツァイン様に頼まれている、国王様への献上品についてだった。
「まだ決めていなくて、いつくか考えるつもりよ。先日ムーンと一緒にステンドグラスを考えたとき、いくつかの案をためしたら想像がふくらんだから、献上品も同じようにためしてみるつもり」
「どのような案がでてくるか待ち遠しいの」
「基本はルビーとサファイアを使うつもりだけれど、エメラルドなどほかの宝石もためしてみると面白そう」
「わたくしも楽しみにしています」
「ぼくもたのしみ」
ムーンもスターも私のジュエリーを楽しみにしている。トクツァイン様にはもちろんだけれど、みんなに喜んでもらえる献上品を作りたい。
頭の中で献上品の案を考えていると、目の前の空間が揺らいでエメが出現した。踊るように回転しながら浮遊を始めた。
「遊びに来てくれたのね。地下は風が停滞しやすいからエメが来てくれて嬉しい。エメとも早く話してみたい」
エメは嬉しそうな表情を見せて私の近くに寄ってくる。ダイヤが上位精霊になったから私の予想だけれど、宝石神殿のレベルがあがればエメやルビー、サファも上位精霊になれると思っている。
「エメもメイアと話したいと思っているの」
「それは楽しみね。そのためにも宝石神殿への奉納を頑張らないとね。最近は作れていないけれど、またダイヤモンドとアダマンタイトを使った幻のジュエリーを作って奉納したい」
「きっとすてきなジュエリーになると思います」
「問題は真紅の炎で、トナタイザンさんにお願いが必要よね。でもその前に献上品のジュエリーを完成させたい。ルビーとサファイアを別々に使ったり、複数の宝石を使う案もよさそう。ジュエリーもいろいろな種類でためせば案が広がりそう」
今日は時間がないけれど、あとで簡単な絵を描いたり、実際に宝石を並べて雰囲気だけでもつかみたい。いろいろと考えることはあるけれど、宝石神殿にきてから充実した日々が送れている。
「コパはそろそろお腹が空いてきたの」
横にいるコパシュルが私の腕を取ってきた。
「少し話し込んだみたいね。このあとスキル確認と奉納を終えたら夕食を作るね」
「料理はコパも手伝うの」
いつの間にかエメは消えていたけれど、宝石神殿の5階へ行けばまた会える。みんなで一緒に移動を始めた。
宝石神殿の5階で扉を開けると、精霊たちが出迎えてくれた。最初に石のテーブルへ手を置いて、私自身の情報を確認した。
「宝石調和スキルがレベル4になっている」
ほかの情報は一緒だけれど、着実に成長していてうれしかった。
「メイアはすごいの」
「おめでとうございます。メイア様が頑張った証です」
「ぼくもうれしい」
「みんなありがとう。みんなが支えてくれたおかげよ」
精霊たちも、それぞれの意思表示で私を祝福してくれた。
喜びをかみしめたあとに奉納台の前まで行って、今日作った宝石とジュエリーを置いた。淡い光とともに宝石とジュエリーが消えると、私のレベルアップを祝福するように光が部屋全体に充満する。
宝石神殿もレベル14になった。
「メイアのおかげで宝石神殿のレベルがあがったの。コパは早く画面を見たいの」
「私も何が強化されたのか知りたい」
みんなで石のテーベルまで移動して、コパリュスが石のテーベルに手を乗せる。近くにある画面に宝石神殿の情報が表示された。
「北側が強化されたようです」
ムーンが教えてくれた。場所は宝石神殿の敷地内で北側に新たな建物と、宝石神殿の外にあたるムジェの森を、北側に向かって緑色の線が追加されている。
「南側と同じ新しい建物と導きの道なの?」
確認のためにコパリュスへ聞いた。
「その通りなの。レッキュート連合国への往来が楽になるかな」
「それはうれしい。コルンジさんたちも宝石神殿へ来られやすいし、私はレッキュート連合国へ行ってどのような国か見てみたい」
「どこまでもお供します」
「ぼくも、メイアといっしょにいく」
「あとで一緒に行こうね。もちろんコパリュスも一緒よ」
レッキュート連合国はコルンジさんやガルナモイトさんたちが詳しいから、行く前に情報を聞けばいろいろと楽しめそう。
すでに夕方を過ぎているので、北側の導きの道は明日確認することにした。今日はお祝いのために、豪華な夕食をコパリュスと一緒に作って、みんなで楽しくおいしく食べた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます